ピアノ愛好家のM様 古典調律(ベルクマイスター第一技法第三番)

Q.どのような経緯で当社をお知りになりましたか?
A.浜田さん(調律師)から、「ドレスデンで出会った渡邊さんは若いけれどすごくいい調律師だ」と仰っていて、それでお願いしました。

Q.益子さんとピアノとの出会いは?
A.10歳ぐらいから何年間か、武蔵野音楽大学の外部の講師の方にピアノを習っていました。そのあとはしばらくピアノを弾いていなかったんですが、弾きたい気持ちはずっと残っていました。30歳ぐらいのころに、体の具合を悪くしまして仕事を辞めたのですが、その間にピアノを買って再度弾き始めました。その後仕事はあまりやらなかったのですが、ピアノは割と熱心にやるようになって、ずっと続いています。仕事は編集者や印刷関係の仕事をしていました。
ちょうどその頃グレン・グールドというピアニストを知り、すごく魅力的だなと感じまして、ピアノを長く続けているきっかけとなりました。

Q.その当時、グレン・グールドの演奏にどう触発されたのですか?
A. 1985年、生誕300年ということでバッハが話題になりました。グレン・グールドが亡くなった後少し後のことです。その頃はレコードがCDに切り替わったころだったため、様々なレコードのCD版が再発されていました。グレン・グールドはCBSとレコード契約をしていましたが、CBSがソニー傘下になり、日本でも熱心にグレン・グールド全集などが出たころでした。そのような背景からCDを手に入れ易かったため、沢山の音源に触れる機会がありました。

Q.生活の中でピアノはどういう存在になっていますか?
A.結構大きく占めていると思いますね。それからパソコンを使った作曲もしています。シベリウスというソフト(楽譜作成ソフト)を使っていますが、キーボードで(Midi情報を)入力できて、ざっと楽譜を書いていけるので便利ですよ。私はWindows95が出始めたころからやっていました。今のソフトは当時のソフトと比べて操作も簡単にできるようになっていまして、すぐに出来上がった音を確認することができます。昔の作曲家はそんなことしないでも、頭の中で絶対音感を使って作曲出来たのでしょうけれど、今はある意味素人でも作曲を楽しめるように、ソフトもよく出来ていますよね。

Q.そのときは、古典調律ではない平均律で作曲するのですか?
A.(作曲ソフトのピッチを)古典調律に合わせることもできるかもしれないですけど、普通の平均律で十分楽しめますね。(作曲ソフトで古典調律を設定するとき)どの音を中心にして割り振るかも、(作曲ソフトなら)簡単に設定できます。便利ですよね。ピアノだと渡邊さんが作ってくれた調律しかできないですけど。
そういう時間が増えてきたので、音楽は1日の中で大きな位置を占めていますね。

Q.もう20年くらい(作曲ソフトを使った作曲を)やっているわけですよね。
A.最初はそれほどやっていたわけではないです。今使っているソフトが出たのが、2003年~2004年くらいでした。それまでの楽譜出版社で使っていたソフトはもう少しがっちりしたソフトで、使用するには敷居が高いものでした。もともとシベリウスはロンドンの人が開発をやっていましたが、アメリカの方に売り渡した際に少し違った感じになりましたけど、よく出来ています。

Q.ピアノ技術者に対してどのようなことを期待していますか?
A.自分で調律師を頼んだのは浜田さんだけでした。浜田さんにお願いしたころ、雑誌ショパンで古典調律の特集をしていました。それで古典調律をお願いしたいので、ショパンに電話して、どなたか調律師の紹介をお願いしたところ、浜田さんがいらっしゃいました。それからずっと浜田さんにお願いしていました。ピアノを買ったときは、買ったお店の調律師が来ていましたけれど。

Q.つまり古典調律をきちんとやってくれるということを期待していると?
A詳しく音律のことを知っていたわけではないのですが、小さい頃から色んな意味でピアノの音が気になっていました。オーケストラとピアノが一緒に音を出したときに、ピアノの少し浮いた感じの音というのが気になっていたと思います。1985年頃、バッハ生誕300年に関連して古典調律の様々な本が出たことと、私がピアノを買った時期とが重なっていて、古典調律に興味を持つようになりました。
浜田さんの古典調律は少し緩やかなところがあったと思います。ピタッはまっているのではなくて、音が柔らかくなっている感じでしたね。私は古典調律を施した他のピアノを知らなかったから、そういうものかなと思っていましたけど。
渡邊さんの古典調律はきっちりしていると思います。音のぶれが少ないというか、ピタッと入っている感じがします。緩い古典と調律にしていると、何となくペダル掛けたみたいな緩やかな感じが出るけれど、すぐに調律し直さないとならなくなります。それで今まで、調律の間隔を短くやっていたのかもしれません。

Q.はじめて私と接したときどういう印象でしたか?
A.浜田さんの紹介ですから本当に安心してお願い出来ました。浜田さんが「ドイツで出会った渡邊さんという良い調律師がいる」ということだったので。こういう古典調律を頼める調律師なんて、自分で探しようがないですから。渡邊さんは古典調律とかいろいろ詳しいし、安心してお願いしています。

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