Feurich UP 駒削ぎ

駒の高さを決めた後、削って平を出していく。

駒高決定後 鉄骨外し

あらかじめ削り出した、駒高さの基準と同じ高さになるよう、余分に高い箇所は削っていく。沢山削る必要がある箇所は、初めはのみで粗削りした。

駒上面高さ粗削り

ある程度まで削ったらかんなを使う。夢中になりすぎて、駒材のエッジで指を切ってしまった。

駒上面削り出し作業風景

逆目にならないよう、メモでかんなの削る方向を示して、駒高さの基準の溝が無くなるまで仕上げていった。

駒上面削り出し作業後

駒上面の高さを出したら、黒鉛を上面に塗っていった。余計な黒鉛は布や革でふき取り、磨きだした。

黒鉛塗布

この後、以前トレーシングペーパーで取っていた、駒ピン穴位置のコピーを映して、穴あけを二人でした。一人は穴あけ作業、一人はドリルの角度を見る係。(写真を撮り忘れた)約400本の穴を正確に開ける。

駒削ぎ。緊張する作業。

駒削ぎ作業

駒削ぎ後

削ぎ終わった後、駒ピンを入れ、ピンの上面を棒ヤスリで削り高さを揃えていった。(写真を撮り忘れてしまった)
8月に神戸市に住む友人のお父様にいただいた棒ヤスリが、良く切れて作業に貢献してくれた。
途中何本か入れ直し位置を変えたり、削ぎの修正、仕上げもした。

次回は張弦から440Hzに上げるところまでをアップする予定。

Feurich UP 響板上塗りから駒高さ決めまで

響板の下塗りが終わり、乾かした後、サンダーで表面を整え、上塗りをした。

上塗り前の研ぎ

上塗り

上塗りが十分に乾いたの後、駒高を決める作業に入った。
その前に、鉄骨を戻し、ボルトを止める。響板を叩いて音を確認したところ、いい響きに仕上がった。

その後、現在の駒高は高すぎるので(この時点で低かったらまずい)、タコ糸などを使い確認し、削る量を決める。
今回の駒高は、既にクラウン(響板の山)が沈下しているので、無理に駒圧を付けることはしない。修復前の寸法を参考にしながら決めた。

また、有効弦長側の駒圧の方が少し大きくなるように、多少だが加減した。

駒高決め準備

下の写真は、タコ糸をチューニングピンからヒッチピンへ渡し、駒圧の確認をしているところ。

低音駒高決め ヒッチピン

必要な高さになるまで削る。

低音駒高決め作業

この作業を全音域で行い、基準の高さを決めた。あとは基準のへこみが消えるところまで(平らになるまで)鉋で削っていく。

駒高決定

昨年度までの疲れがどうも抜けないようで、この夏は無理をしなかった。
最近ようやく取れてきたようで、これからピッチを上げて作業していけそう。

Feurich UP 埋木作業から下塗りまで

響板の埋め木、割れ目を専用のトリマーで削り、その断面に合わせて埋める木を作るのだが、トリマーが入りらない厄介な箇所もある。
こういう箇所は作業しやすいように、途中までトリマーで溝を作り、その先は手で溝を作ることにしている。
刃物に強い妻に溝を作ってもらい、自分が埋木作業をした。今回自分がしたのは、この一か所のみ。

埋木溝作り

溝作り その2

 

作業がやりにくい箇所で、今回の響板の老け方も、いつもと違う質感で、綺麗な形に溝を作るのに苦労した。
溝の形状が少々複雑になってしまったため、カーボン紙を使って進めていった。
久しぶりにやった影響もあるが、この一本で5時間は費やした(2日間にまたいでやった)

埋木作り

接着剤で埋木し、カンナなどで削って平を出した。

下塗り前のペーパーがけの前に、響板のネジを全て外した。ネジ頭を削ると、金属の粉が響板上面に付着し、仕上げが汚くなってしまう為。

響板ネジ外し

外したネジは、元の位置に戻すか、場合によっては同じサイズのプラスねじに交換する事もある。

因みにトリマーで溝を作ったのは全て自分。危険だし、失敗すると響板を無駄に傷つけてしまうので、もう10年は自分しかしていない。

写真で取り忘れてしまったが、表面をサンダーでかけた。製造時の作業があまり丁寧ではなかったようで、表面の細かい傷が目立つ箇所が多く、120番からかけていった。最後は320番で統一し、下塗りした。
塗料がいつも以上に吸われる感じで、何度か塗り重ねた箇所があった。

翌日確認。塗ったとき、塗りすぎたかと思った箇所も、想像以上に吸われていた。もう一回下塗りをするつもり。写真は下塗りして、320番で少しペーパーを掛けたところ。
下塗り後

響板を叩くと、既にいい音がしている。いい感じ。

Feurich UP 響板埋木作業

響板にはかなり割れが見られた。まずはデカールを保護した。幸いこの箇所に割れが見られなかった。

デカールの保護

その後、アルコールでニスをさっと取り、埋木修理していった。
トリマーで溝を作り、そのトリマーと同じ断面を持つ埋木材を埋めていく。
トリマーで綺麗な断面が出来ればいいのだが、古い木材は素直に削られてくれない。一本一本溝に合わせて埋木材を加工していく。
気の遠くなる作業の一つ。

響板埋木作業
5月と6月ともに、自分は外出することが非常に多く、今回は一本も自分は作業していない。
もう少しで埋木は終わる。そのあとは響板再塗装をする予定。

因みに、今回はハンマーを、パリ郊外のハンマー屋に巻き直してもらう。日数的に間に合うと思い、船便で3月に送った。
その後出国してからなかなかフランスに着かず、少々焦ったが、先日フランスに到着したことが分かった。
正直ホッとした。

 

Feurich UP 駒トップの交換 その②

駒の上部を大まかに形を作り終えた後、
下部の上面と、上部の下面を合わせなくてはならない。これを鉋でやっていく。

楓やブナ材の鉋掛け。針葉樹の木材を切る時よりも、研ぎの角度を大きめの物を使う。妻が家事や他の仕事の合間に進めていってくれた。
自分が工房にいないときだったので写真が無い。残念。

面が合うと、上部と下部が少し吸い付くような感じになる。

接着前に、接着面を少し粗くする。今回は位置決めのガイド無しなので、3人で接着作業の予行練習をした。

接着 事前準備

接着作業。写真はこぼれ落ちた接着剤を拭いた後。

中低音部の接着

最高音部は治具が入らない為、工夫した。

高音部の接着

 

下の面を突き上げるために、写真のようなジャッキを使った。写真のジャッキの位置だと良くない。撮影後調整修正した。最高音部だけ自分一人だったので大変だった。

高音部の接着 下の支え

因みにNPO燕三条エラール推進委員会のエラールの専属調律師をさせていただいている。柿澤さんが修復したピアノ。きちんとされていて安心して作業できる。
三条市も燕市も刃物で超有名で、他の地域のと比べると、今のところ一番使いやすい。私たちの力加減と合っているのかもしれない。
先日伺った際に委員会の代表の方に、ノミの話をしてみたら、ご親戚がノミ作りで大変有名な方と知らされた。

そのうち家族で三条市に伺うことになると思う。