YAMAHA U1D 外装磨き

今週は一段と冷え込みが厳しくなりました。体も冷えますね。
手が冷えていると作業にも支障が出るため、毎朝足湯ならぬ手湯をして温めています。

工房では、YAMAHA、モデルU1Dの外装磨きをしました。

修理を開始した最初の段階に、掃除も兼ねて全体の汚れは拭き取っておきました。今回の作業ではバフで丁寧に磨いていきます。

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磨く前、もやっとしたくもりが外装全体を覆っていましたが、
磨いていくうちに段々とくもりも取れていき、まるで鏡のようにピカピカになっていきます。バフを使って磨くことは体力も大変消耗します。

最後は手磨きで仕上げました。黒色の発色も濃くなり、手触りもなめらかになりました。

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そして外装の金属部分、蝶番も磨きました。磨き前はサビがびっしりと付着していました。

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外装の黒色がいくらキレイになっても蝶番がこのままでは残念です。

今回はまず手磨きでサビを落としてからバフで磨いて仕上げました。
サビを落とすことは簡単ではありませんが、どんどんサビが落ちてなくなっていく様は、作業をしていて楽しい瞬間のひとつです。

磨いた蝶番は、生まれ変わったように光っています。

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今回のU1Dは長年の経過による汚れなどがピアノ全体を覆っていましたが、キレイにするぞという意気込みで作業に向かいました。結果的にビフォーアフターがはっきりわかる仕上がりになり嬉しいです。

次はアクション調整に入ります。

by志乃

ベルトーン 入庫

12月に入りました。今年も早いもので残り1ヶ月ですね。
街もどこか慌ただしくなる時期です。だいぶ冷え込んできたので体調に気を付けたいと思います。

工房では新たにピアノを入庫しました。
ベルトーンです。
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ベルトーンは浜松の富士楽器製造、ベルトーンピアノ研究所が製造していたピアノです。昭和7年に浜松の天竜川筋でピアノ製造が始まりました。浜松はピアノの街と言われますが、最盛期には多くのピアノメーカーが競い合い、個性豊かなピアノが次々と誕生していきました。

ベルトーンもそうした時代に生まれていったピアノです。
今回修理のために入庫したベルトーンは、外装はウォルナット色でペダルは2本です。どこか外国を思わせるような佇まいをしています。

修理を依頼されたお客様のご家族の方が大切に保管されていました。ご家族皆さんピアノが好きなようで、しばらく弾かれていなかったこのピアノを、もう一度音が響き渡るようにと修理を決断されました。

これから修理に入りますが、お客様が笑顔でピアノを迎えてくれるように作業を進めたいと思います。

by志乃

YAMAHA U1D 鍵盤修理

紅葉シーズン到来ですね。この週末、紅葉を見にお出かけされる方も多いのではないでしょうか?眺めているだけでホッと癒されます。

工房ではYAMAHA、モデルU1Dの修理の続きです。鍵盤の修理に入りました。
まずは鍵盤に使われている赤いクロス(鍵盤ブッシングクロス)の交換です。
クロスの適切な厚さは、タッチに関わる大事な部分。今回のクロスはかなり擦り減っていました。
1本ずつ手作業で貼り換えます。今回は接着剤にニカワを使いました。固まるのが早いのでスピーディに進めていきます。

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そして白い樹脂(白鍵)の上面と手前の部分を新しく交換しました。上面には割れが見られ、手前の部分は激しく劣化していました。

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白鍵は木の鍵盤に白の樹脂が貼られています。
熱を加えて樹脂を剥がして、新しいものを貼ります。そして形を加工していきます。

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全体のバランスをみながらヤスリで少しずつ整えていきます。段々と完成に近づいていく過程が面白いです。

黒い鍵盤(黒鍵)も掃除と磨きをしました。黒でわかりにくいですが、相当な汚れがあり布がすぐ真っ黒になりました。
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曇りが取れて、黒色がはっきりしました。

鍵盤を本体に収めて完成です。鍵盤はつややかに光っています。

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アクションと鍵盤の修理が終わり、調整に入ります。早く音が出るのが待ち遠しいです。

by志乃

YAMAHA U1D アクション修理②

暦の上ではもう冬に入りました。
寒さで体の動きも鈍くなるので、毎朝スタッフ全員でラジオ体操をしてから作業に入っています。体が伸びて気持ちが良いです。

工房ではYAMAHA、モデルU1Dのアクション修理の続きです。
ハンマーには弦を叩いた溝が深くついていました。
よく弾かれていたのでしょう。

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ヤスリでハンマーフェルトを削り、形を整えました。
こうする事で発音もしっかりとした音色を期待でき、見た目もきれいに生まれ変わりました。

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ダンパー(音を止める部品)のフェルト部分も劣化し、虫に喰われている部分もあったので、新しく交換します。
新しいフェルトはフワフワ柔らかく、裁断する時は形が崩れないように気をつけます。

(虫喰いがあったダンパーフェルト)
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(新しくなったダンパーフェルト)
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低音のダンパーは弦に合わせて接着をしました。

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すべてのダンパーフェルトの交換が終わり、アクション全体の修理も一段落しました。

今回のアクション修理は数も多くて細かい作業が続きましたが、全て完成した時の充実感はあります。

次は鍵盤修理に入ります。

by志乃

YAMAHA U5 調整、そして納品

日を追うごとに外の空気が冷たくなってきました。
暖かい太陽の光がありがたく感じられますね。

工房ではYAMAHA、モデルU5の調整をしました。
必要な修理をすべて終え、今度は実際に部品がスムーズに動くように調整します。
弾きやすく、そしてピアノの持ち味を生かせるような仕上がりを目指していきます。

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一度は解体した部品を調整するので、一から組み立てていく感じです。

途中、ヤマハの調律師さん2名がそれぞれ遊びに来て、指弾してくれました。
「U5って、こんなにいい楽器でしたっけ」、大変驚いていました。
私たちにとっては、ピアノはきちんと修復すると、一台一台個性を持ったいい楽器になる事を日常的に知っているので、驚かれたことに驚きました。

そして最終調整も終えて、お客様の元へ納品しました。

(出荷前の工房にて)

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(お客様宅へ納品したところ)

U5吉野様納入後
スペースにピッタリ収まったピアノ。
キャスターの受け皿(インシュレーター)は調律師・早川さんの手造りです。キャスターに合わせた特注品。音色も、よりしっかりとした印象を受けました。
五角形がかっこいいです。外装も再塗装したことでピアノ全体の深みが増しました。

見た目も中身も新しくなり、無事にお客様の元へ戻りました。
本体とアクション修理から浜松での再塗装に至るまで数多くの修理をしました。鉄骨も外し、響板だけのまっさらな状態から徐々に部品が組み上げられ戻されていく様は、修理の醍醐味のひとつだと思います。

また今回の修理は調律師の早川忠光さんと共同で行いました。
早川さんは、技術者歴30年以上で日々様々なピアノに触れています。またピアノ1台1台の良さを最大限引き出すため常に研究しています。
約半年に渡り作業をともにしましたが、とても有意義な時間となりました。早川さんは修理や調整において新たな試みを行う事もあり、こちらもたくさんの発見がありました。
技術者としての姿勢など多くのことを学ばせていただきました。今後の糧になると思います。

新しく生まれ変わったピアノ、素敵な音色が響き渡ることでしょう。
 
by志乃