YAMAHA G3~こだわりの修理③ 響板の割れ修理

工房では、ヤマハG3の響板修理に入りました。

まず、響板のニスを剥がしていきます。

このピアノは45年経っており、ニスが劣化していました。その結果、ニスにゴミがくっついて汚くなっていました。

ニスを剥がしていくと響板の下が出てくるのと同時に、響板割れも見えてきました。

ニスを剥がす日は乾燥した日を狙って行いました。そして、剥がした状態で乾燥させ、数日間置いて様子を見ました。

後日、響板を見てみると、響板割れが意外とたくさんありました。
ニスを剥がした後に見た時より響板割れがはっきりしていました。

響板割れの部分をトリマーで整形していきます。

埋木材を整形した部分にピッタリ合うように加工していきます。

次回も引き続き響板の割れ修理です。

by真帆

YAMAHA G3~こだわりの修理② 解体作業

今日は爽やかでしたが、夏のように暑かったですね。朝晩の寒暖差があるので、体調管理には気をつけたいところです。

さて、現在作業しているヤマハのモデルG3、45年程経過して、本体もアクション部品も劣化していました。

診断をした所、弦の下にある本体、響板の割れもありました。

まずは弦を外す作業です。

弦は劣化して錆びています。

弦は手作業で地道に外します。

弦を外したあとは鉄骨も外します。

解体した後の響板の様子です。

これから響板の修理の作業に入ります。

ヤマハ No.G2 最終調整

工房では、ヤマハNo.G2の最終調整に入り、鍵盤の鉛調整を行い、お客様宅にて調整を行いました。

アクションの修理が終わり、アクションを組み立て、鍵盤の重さを確認します。
この時点では、ダウンウェイトが69~72gでした。まだまだ重いので、ハンマーウッドを削っていきます。

ハンマーウッドを削って(テール加工)アクションに取り付けてもう一度測定してみると、ウェイトが1~2g軽くすることが出来ました。

手前 加工前   奥 加工後

これで、キャプスタンの変更と、テール加工で、3~4g軽くなしました。
鍵盤に沢山鉛を入れて、鍵盤自体が重くなると、慣性力が増えて、演奏のコントロールが難しくなるので、少しでも他の要素でタッチが軽くなるように努めました。
この時代のヤマハは、アップウェイトがしっかりあった方がいいのかなとかいろいろ考慮し、アップウェイトが27g以上で、ダウンウェイトが低音~高音にかけて53~50gを目標にすることにしました。鍵盤に鉛を入れていきます。

鍵盤に鉛を入れる穴を開けていきます。

鉛をかしめて、抜け落ちない様にします。

今回、ほぼ全ての鍵盤に鉛を入れたり、抜いたりで、大変な作業になりました。
これで、タッチが重く感じる事は解消されました。

お客様宅での調整前に工房でハンマーの走り傾きの修正をしました。

さて、いよいよお客様宅での最終調整です。

親方が弦とハンマーの当たりを合わせていきます。

親方が本体で調整を進める間、ダンパーワイヤーを磨いていました。
やはり汚れやすいところには、汚れが溜まっていきます。

ワイヤーがキレイになると、ダンパーの動きもスムーズになります。

調整も調律も終わり、最後の整音の作業です。
アクションの修理改善、更に鍵盤のウェイト調整をしたことで、音が良く出るようになりました。
ただし、バランスも変わった為、整音で整えます。

作業終了後、お客様に試弾をしていただきました。
お客様も凄く軽くなったという印象ではないけれど、弾いていても疲れないということで喜んでいただきました。

以前とは違うタッチになり、これからまた新たにこのピアノの新しい一面を発見しながら、楽しんで弾いて頂けたら嬉しいです。

by真帆(補足 孝則)

ヤマハ No.G2 アクション修理

工房では、ヤマハのグランドピアノ No.G2のアクション修理を進めました。

ウィペンは汚れが溜まりやすく、掃除がしにくいところなので、まずは掃除からはじめます。

ジャックの部分は黒鉛と汚れが混ざってべとついていました。 しっかり拭き取り、塗り黒鉛を塗っていきます。

上のジャックと擦れるところが下の写真の黄色いクロスのローラーといわれる部分です。左側は拭き取り前で、ジャック同様黒くベトついていました。

右側は拭き取り後です。全てのローラーを拭き取りました。

ヒールクロスはキャプスタンと当たる部分ですが、黒くべとついていました。このヒールクロスの摩擦が鍵盤を重くしいた原因のひとつでもあります。

新しいクロスと交換しました。

今回、キャプスタンは交換しました。

右側がオリジナルで、左側が新しく交換したものです。

新しく、綺麗になりました。

鍵盤のホールの掃除とピンの掃除をしました。

こちらも黒くベトついている汚れを拭き取りました。

拭き取るだけでツルツルになりました。

部品同士が接触するところは余計なものがないように、しっかり取り除くことが、ピアノのスムーズな動きにもつながります。

次回はアクションを組んで鍵盤の加重調整をします。

by真帆

ヤマハ No.G2 アクション引き取り修理

工房では、ヤマハG3Eと並行してヤマハNo.G2 のアクションを引き取り、修理を進めています。

お客様宅にアクションを引き取りに行くと、素敵なデザインのピアノでした。

ピアノはアントニン・レーモンド氏によりデザイン設計されているヤマハのNo.G2 でした。

鍵盤蓋と腕木のあたりはシャープな印象ですが、脚やペダルの辺りは丸みがあり、優しい印象を受けました。

お客様が気にされていたのは、鍵盤のタッチが重さでした。私も鍵盤を弾いてみると、鍵盤の底まで引き抜くのが大変で、これで曲を弾くのは大変だなと思いました。

今回は重いタッチを軽く仕上げるということで、お客様宅からアクションを持ち帰り、修理開始です。

まず、アクションの状態を把握していきます。

鍵盤の加重を測ります。

鍵盤の手前に重りを乗せて測りますが、一番重い70gと9gの組み合わせでも鍵盤が下がりません。

80g以上ということで、アクションが接している摩擦が発生する場所を見てみると、黒くべとつきがあり、動きを悪くしていました。丁寧に拭き取って、もう一度鍵盤の加重を測ります。そうすると、76gの重りでも落ちるようになりました。

しかし、76gでも重いので、先程掃除したクロスや部品を交換してから、また鍵盤の加重を測り、鉛をどれくらい入れるか検討します。

次はアクションの掃除に入ります。

by真帆