YAMAHA G2 アクション・鍵盤修理

雨の日がしばらく続きましたが、関東は今日は気持ちの良い秋晴れです。外に出ると空気が清々しく、日向ぼっこしたい陽気です。今日がチャンスと、朝はみんなで工房のプチ大掃除を行いました!

工房では、YAMAHA、モデルG2のアクションと鍵盤の修理をしました。
こちらのピアノは、ただいま修理中のホルーゲルを持っていらした方が所有していました。2台のグランドピアノは知人のM様に引き継がれて、来月頃オープンする飲食店に設置される予定です。
G2のピアノは、本体の状態は問題なかったので、アクションだけ引き取り工房で修理を行うことになりました。

アクション部品の修理では、ハンマーファイリング(ハンマー整形)とハンマーシャンクローラー交換を行いました。
ハンマーフェルトはハンマー交換をするほどの状態ではありませんでしたが、フェルトに弦の跡がしっかり付いていたので、ヤスリで弦の跡を削り全体の形も整えました。
ファイリングをすることで、音色がより豊かに響くようになります。

削ってフェルトの汚れも落ち、見た目がキレイになりました。
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ハンマーシャンクローラーは、ハンマーが弦を打つ時のアクション運動においてとても重要な部品です。鍵盤を押す度に他の部品と当たる為、元々付いていたローラーは激しく摩耗していました。タッチに影響が出るため、ローラーごと新しく交換です。

交換前。かなり摩耗していて、触るとデコボコしていました。
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新しいローラーに接着剤を付け、かなづちで叩いてはめ込みます。
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交換後。スムーズに弾きやすくなると思います。
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鍵盤は白鍵の木口(こぐち)と呼ばれる正面の部分が劣化で変色してしまったので、木口のみ交換しました。交換した木口は真っ白でピカピカ!交換前と比べるとパッと見た時の印象が全然違います。

交換前。機能には問題ないのですが、見た目が良くないです。
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交換後。白くつやつやしています。
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また、鍵盤のブッシングクロスという赤いクロスが摩耗していたので貼り換えました。このクロスは鍵盤の裏側に付いています。クロスが摩耗していると、弾いたときに鍵盤がブレてとても弾きづらいです。

接着剤はニカワを使いました。写真は貼り替え中の作業風景です。
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そして鍵盤が収まるバランスピン、フロントピンは1本1本丁寧に磨きました。

右が磨き前、左が磨き後。かなり黒ずんでいてサビついていました。根気のいる作業ですが、鍵盤のスムーズな動きに関わるのでこのピンはツルツルの状態がベストです。
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すべての修理が終わりました!

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今回の修理はどれも結果的に音色とタッチに大きく影響する修理なので、本体に設置して弾いた時の変化が楽しみです!

by志乃

レスター 第1調整

学校では運動会や文化祭、目黒ではサンマ祭りなど、行事がすっかり”秋”ですね。

さて、レスターは、全てのアクション修理、取り付けが終わりました。音は出るようになりましたが、タッチはバラバラで、演奏もままならないレベルです。

そこからいいタッチを作るのが整調になります。全ての部品を最適な状態に揃えると、ピアノを気持ち良く演奏できるようになります。

今回は、その整調作業のハンマー調整と、白鍵ならしについて書きます。

ハンマー調整

ハンマーの動きを、最適にする工程です。全てのハンマーを、弦に対して真っすぐ、正面を向いて、真ん中に当たるようにします。

この3つ精度を丁寧に上げて行くと、「おっ?ピタッといいところに近づいてきた!」と、気が付くときがあります。これを感じたときは、やっとここまで来たかと少し達成感があります。見た目だけでなく、音の粒も揃った感じになります。

白鍵ならし

鍵盤の上面の凸凹を平らにする工程です

上の写真は白鍵が凸凹している状態です。左右に傾いたりもしています。

傾きを取った後、白鍵の高さを定規で測定し、ならしの基準を決め、色々な厚さのパンチングペーパーを使って凸凹を取っていきます。

白鍵の高さを均一に揃えました。凸凹していなくて、気持ちが良いですね!

そのほか、主に10の工程があります。どの工程も、基準を決めて、それに全て揃えていきます。

こうして、整調を終えてから、演奏してみました。しっかりとして、それで暖かく響く、いいピアノになると確信しました!

因みに、これまでのアクション修理にエラーがないか、寸法はこれで良かったかも、確認しました。大丈夫そうです。上手くいきました!

整調はさらに第二整調でまだまだ精度を上げて行きます。更に気持ちを引き締めて行きた いと思います。

完成が楽しみです。

by真帆

ホルーゲル 響板塗装

ホルーゲル(GP) 響板塗装

最近は季節の変わり目を感じますね。体調管理には気をつけたいです。

さて、工房ではホルーゲルの響板修理が終わり響板塗装に入りました。
今回は響板塗装です。古い塗装を剥がし、新しく塗装し直しました。

写真は響板修理後の写真です。

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響板修理が終わり、響板についたニスを剥離している最中の写真です。

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剥離後すぐに新しい塗料を塗って終わるほど、この仕事は簡単ではありません。
サンドペーパーなどを使い、表面の状態を均一にしないとなりません。手のひらを使い、上面の手触りがある一定の肌触りになるまで、丁寧に進めていきます。下地を整え、何度も確認をした後、塗装をしました。因みに今回は、この作業を合計3回繰り返し行いました。

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始めの写真の響板修理後の写真には写っていますが、次の写真にはメーカーのシンボルマークのデカールがありません。今回は響板の割れがデカールの絵に入っていたため、剥がして作り直すことにしました。

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上の写真は、完成した新しいデカールを親方が慎重に張っているところです。作成から延べ一週間かかったそうです。

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デカール完成です!

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3回目の塗装(仕上げ)をした後の写真です。ツヤツヤに仕上がりました。 ホルーゲルのデカールは絵がとても凝っていて、響板塗装の仕上がりもより締まってみえます。

響板もデカールも綺麗になりました! 今後は鉄骨をピアノと合体させて、組み立てていきます。

そして、もう一台のホルーゲル(UP)が入庫しました。

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修理に入るのはまだ先になります。
外装の諸所にこだわりを感じるピアノです。
まだ、修理前なので、弾ける状態ではありませんが、音を出してみると暖かく深い音がしました。
後日改めてこのピアノについてのブログを書く予定です。

by真帆

YAMAHA C5 お客様の元へ

先週あたりから、外の空気が少し柔らかくなり始めて気分もほっとしています。あんなに聞こえていたセミの大合唱は、いつの間に無くなり、季節の移ろいを感じますね。

工房では、YAMAHA、モデルC5がお客様の元へ戻っていきました。

出庫前のピアノ
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弦の交換後、ハンマー交換等の修理を終えて、整調・調律・整音作業をしていきました。整調作業では、弾きやすいタッチになるように様々な工程を行います。このピアノを長年調律されていて、今回の修理をご依頼してくださった調律師のYさんに最終の整調作業をしていただきました。整調がどんどん整ってタッチが弾きやすくなると、それに伴いしっかりハンマーが弦を叩き、芯のある音になっていきます。
整調・調律と進み、整音作業では音色の粒を揃え、1音1音がより豊かに鳴るように微調整をします。音を聴く、作業する、を繰り返すごとに音色の変化を感じます。

音色を確認
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針刺しの風景
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整音までの工程が終わったピアノは明るく軽やかな音色はそのままに、更に高級感漂う音色になりました!中音・高音のザラっとした音も無くなり、メロディーラインの響きはふくよかに歌っているようです。今回の修理で長年使用されていたピアノがリフレッシュして、また末永くお客様に愛されるピアノになったと思います。

本体内部も掃除や磨きをしたので、ピカピカになりました!
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戻ってきたピアノに対してお客様は、「おかえりなさい!」という気持ちになられたそうで、そう思って頂けたのはとても嬉しいです。ピアノはこれからもたくさんの歌声を響かせてくれることでしょう。

by志乃