カワイ R1 最終調整

今回はカワイのグランドピアノR1のアクション修理が終わり、お客様宅での最終調整です。

カワイのアクションを引き取ってから約3週間お預かりし、修理を集中的に進めてきました。
部品を交換したり、センターピンの位置も修正したので、修理前のアクションの状態とは異なります。
ここでは、ピアノ本体の中でアクションが正常な動きになるように調整していきます。

親方がピアノ本体で作業している間に、ダンパーヘットとワイヤーを磨いていきます。
ダンパーヘットは黒いので汚れは目立ちませんが、長年の汚れがついていました。
ワイヤーもガイドに当たる部分が黒くなり、汚れがついていました。
磨くことでダンパーの摩擦も減り、引っ掛かりが無くスムーズに動くようになります。

(磨く前)
ヘット

ワイヤー

(磨いた後)
ヘット

ワイヤー

さて、ピアノの整調、調律が終わり、残すところは整音作業となり、ピアノの最終的な仕上げのゴールがみえてきたとき、お客様が様子を見に来ました。

ピアノを弾いたときにタッチが明らかに軽く、指に付いてくるタッチになったと、とても喜んでいただきました。

お客様がピアノを弾いたとき、私は部屋の端っこに居ましたが、美しく洗礼された音に圧倒されました。
修理前は鍵盤が重く、もたつくようなタッチで、音は霞がかった景色が広がる様な、柔らかい音でした。
修理後に聴いた音はまさに霧が晴れたような軽やかでしかも芯のあるしっかりした音色でした。

ピアノがどんな音に育っていくか、これから楽しみですね。

by真帆

カワイ R1 ハンマー交換と鍵盤鉛調整

工房では、カワイグランドピアノ R1 の修理を進めました。

今回はハンマー交換と鍵盤の鉛調整です。

交換前のハンマーには、弦溝が深くついていました。

新しいハンマーは、接着する前に針刺しをします。この工程をすると、音に厚みがでます。

ハンマーシャンクも新しいものに交換します。

接着時の写真を撮り忘れてしまい、接着後の写真になりました。

ハンマーテールの加工をします。

これで、ハンマーを取り付けてアクションの修理は完了です。

次にタッチの重さを鍵盤に鉛を入れる事で調整していきます。
今回、この修理の大きなテーマの一つが、タッチの重さを何とかし、軽快にする、でした。
過去にも他の技術者の方が改善処置をしていましたが、鍵盤を押し下げやすくはなっていましたが、鍵盤の戻りが鈍く、タッチが軽快とは言えませんでした。

アクションを良く調べえると、余計な摩擦が発生する設置になっていて、鍵盤自体に多くのおもりを入れて、少々強引にタッチのつじつまを合わせる結果になっていました。
そこで、ウィペンのセンターピンの位置を最適なポジションにするために0.5mm奥にずらし、ハンマーを少し軽めのものに変えて、軽快なタッチを目指すことにしました。

アクションを組み立てて、タッチの重さを測りました。この時点で既に、タッチが軽快な方向に改善されていました。

更により良くするために、鍵盤についている余計な鉛を抜いて埋木をします。
埋め木を加工して筬に鍵盤を戻し、アクションを戻します。

再びタッチの重さを測定し、最適なタッチになるように鉛を入れていきました。

結果、鍵盤の総重量が約1.5キロも軽くなりました。これだけ鉛を抜いたのは初めての事でした。

次回はお客様宅での整調作業についてご報告いたします。

by孝則 、真帆

カワイ R1 ウィペン修理

工房では、カワイR1グランドピアノの修理を進めています。

ウィペンヒールクロスが磨耗してへこんでいます。この部分は鍵盤の部品とあたる箇所なので、タッチにダイレクトに関わります。

古いクロスを綺麗に剥がしていきます。

新しいクロスを丁度良い大きさにカットして貼っていきます。

ヒールクロスはタッチに関係する部分なので、クロスがたるんだ状態で接着されないように、しっかり張って接着します。

新しいクロスになりました。

上のウィペンヒールクロスと当たっているのが、鍵盤についているキャプスタンです。

左側の茶色い方は磨く前の状態です。

表面が荒くはなかったですが、少しベタつくような状態でした。

右側の黄色く光っている方は磨いた後です。

さっと磨いただけで、見た目も手触りも良くなりました。

続いては、ウィペンフレンジのセンターピン交換をしました。

フレンジのセンターピンの動きが悪く、スティックになっていました。これは、タッチを重く感じる原因の一つです。

一つ一つセンターピンの動きを見て、交換していきました。

中音、次高音が特にスティックになっている傾向で、丁度タッチが重くなっているところでした。

これで、タッチがスムーズな動きに一歩近づきました。

次回はハンマー交換と鍵盤鉛調整に入ります。

by真帆

カワイ R1 鍵盤修理

工房では、カワイ R1グランドピアノの修理を進めています。

今回は鍵盤修理です。

赤いクロスの部分のブッシングクロスを交換しました。

ピンの汚れでクロスが黒くなっています。

ピンの跡が付いているところは、クロスがピンと当たって磨耗しています。

(バランスブッシング)

(フロントブッシング)

全て綺麗に剥がれました。

役目を終えたクロスです。

新しいクロスにバトンタッチです。

新しいクロスを貼っていきます。

綺麗に全て貼り終えました

(バランス)

(フロント)

鍵盤調整をして、クロスとピンの間隔を調整していきます。

接着しただけでは、クロスが厚すぎて、クロスとピンに遊び(程よい隙間)が無く、鍵盤スティックになってしまいます。

鍵盤調整をして、クロスとピンの遊びを調整していきます。

バランス、フロントのどちらのブッシングも調整します。

これで、鍵盤修理は完了です。

by 真帆