工房では、ホルーゲルのハンマーの第一整音(下刺しとファイリング)をしました。
第一整音(下差しとファイリング)は、ピアノの発声を良くするために重要な作業の一つです。
ハンマーフェルトは、フェルトで出来ているとはいえ、フワフワな状態ではありません。
堅く作られたフェルトの塊は強い圧力によってハンマーウッドに接着されています。
発声を良くするために、最適な弾力を作らなくてはなりません。新しいハンマーは、メーカーや種類にもよりますが、堅い場合がほとんどす。
ハンマーは弦を打つ部品なので、第一整音(下刺しとファイリング)は音にダイレクトに影響します。
特に音のダイナミックレンジを広げます。
因みに音が硬い、柔らかいなど、イントネーションや音色を整えるのは第二整音以降で詰めます。
本来、整音作業は音作りの作業のため、全ての部品が揃い、調律と整調が終わってから行うのが望ましいですが、全てついた状態での下刺し作業は困難という事と、フェルトの表面をむく必要があるので、親方の経験から針刺しの回数や長さ、フェルトのむく量について指示、助言をもらいながら作業を進めました。
下刺し
刺す回数を数えながら、針の角度、長さ、刺す所に注意して刺していきます。
間違えて刺しすぎたり、ハンマーの先端に近いところを刺すと柔らかすぎる音になってしまうので、後が大変です。
刺す回数がわからなくならないように、ぶつぶつ数えながら作業しました。
因みに、ハンマーの先端に近いところは、音を聴いてから刺していくので、この段階ではやりません。
ハンマーファイリング
新しいハンマーは、製造時ハンマーの切り口がそのまま残り、ミミが付いている状態です。
なので、そのミミを削りながら形を整形していきます。
左→加工前
右→加工後
ハンマーの打弦する面が斜めに削れていないかに気を付けて行いました。
第一整音は緊張する作業で、長い間集中して行わなければならないので、休憩を取りながら行いました。
次はハンマーを植えていきます。
by真帆