ベルトーン 修復の準備

クリスマスも終わり、新年まであと数日となりました。
クリスマスツリーに変わり、今度は門松などが飾られるようになりますね。

工房では、ベルトーン、モデルNo50の修復前の準備をしました。
ウォルナット色で2本ペダルです。

DSC_1472

DSC_1473

まず最初に、毎回行う修復前の試し弾きをしました。
工房スタッフ4人がそれぞれ曲を弾きながら、どのようなピアノなのか把握します。そうする事で、修復後の変化がよく分かります。

DSC_1478

弾いてみると、包み込まれるような音の広がりと、深みのある音色を感じました。ただ鍵盤が軽快に動かず弾きにくく、長い年月が経過してだいぶ疲れている印象です。また、外装も汚れによりツヤが失われています。これは丁寧に磨いていくとツヤが蘇ると思います。年明けから本格的に修復がスタートしますが、内部も外装も少しずつ本来の姿に戻るよう頑張りたいと思います。

このブログも今年最後になりました。今年もピアノを通じて多くの出会いがありました。お客様それぞれにピアノとのストーリーがあり、ピアノを大切に思ってくれています。その思いに応えられるように、来年も1台1台真摯に向き合っていきたいです。
皆様どうぞ良いお年をお迎えください。

by志乃

YAMAHA U1D 納入調律

今年もクリスマスの季節がやってきました。街中がイルミネーションでキラキラしていますね。凍てつくような寒さですが、クリスマスの季節は気持ちがなんだかほっこりします。皆さんはどんなクリスマスを過ごされるのでしょうか?

工房では、YAMAHA、モデルU1Dの納入調律に行ってきました。
先週、工房から出庫されたピアノ。
ご自宅に伺うと個室のお部屋にきちんと納まっていました。

1513980765943

お見積りの際に初めてこのピアノを目にした時とは、別人のように感じました。あの時は外装も内部も時間の経過でかなりやつれた印象でしたが、今は若返ったように元気そうで音も軽やかに鳴っています。

お客様も「年数は経っているけど、良い音しますよね」と嬉しそうに話していました。製造から50年以上経過していますが、本体がしっかりと造られていた事もあり修理をして復活できました。ピアノは年数で価値が決まるわけではないな、と実感します。
このピアノも、この先まだまだ現役で活躍して皆さんに愛され続けるピアノになってほしいと思いました。そして私達は、ピアノが長く活躍できるように、精一杯のお手伝いをしていきたいと思います。

by志乃

YAMAHA U1D 調整、納品へ

あっという間に12月も半分が経過しました。そろそろ年末にかけて大掃除が始まる時期ですね。工房も一年の汚れをしっかり落として、新年を迎えたいと思います。

工房ではYAMAHA、モデルU1Dのアクション調整をしました。
修理と外装の磨きも終わり、今度は部品それぞれがスムーズに運動出来るように調整します。

一度アクションを解体してから再び組み上げてからの調整なので、すぐに弾きやすいタッチが得られるわけではなく、調整を重ねていき徐々に造りあげていきます。
わずかな誤差でもタッチに大きく影響することがあります。

DSC_1452

DSC_1433

今回修理したU1Dは、製造から50年以上経過していて、年数経過による部品の劣化や外装の汚れが多く見られました。しかし、しっかり根を張ったような力強い音を持っているピアノでした。ご依頼されたお客様の思い出が詰まったピアノを、元気に復活させたいという思いで作業を進めていきました。アクション修理をしたことでアクションの動きが軽やかになり、音色に柔らかさが加わったように思います。外装は磨くほどにツヤがよみがえり、外装全体が美しく変わっていきました。

さて調整も終わり、出庫の支度が整いました。

DSC_1451

DSC_1447

工房に運ばれた時とは姿がまったく違く、重厚な雰囲気のあるピアノに仕上がりました。ピアノはこれからお客様の元に戻ります。気持ちよく弾いて頂けると嬉しいです。

by志乃

YAMAHA U1D 外装磨き

今週は一段と冷え込みが厳しくなりました。体も冷えますね。
手が冷えていると作業にも支障が出るため、毎朝足湯ならぬ手湯をして温めています。

工房では、YAMAHA、モデルU1Dの外装磨きをしました。

修理を開始した最初の段階に、掃除も兼ねて全体の汚れは拭き取っておきました。今回の作業ではバフで丁寧に磨いていきます。

DSC_1338

磨く前、もやっとしたくもりが外装全体を覆っていましたが、
磨いていくうちに段々とくもりも取れていき、まるで鏡のようにピカピカになっていきます。バフを使って磨くことは体力も大変消耗します。

最後は手磨きで仕上げました。黒色の発色も濃くなり、手触りもなめらかになりました。

DSC_1383

そして外装の金属部分、蝶番も磨きました。磨き前はサビがびっしりと付着していました。

DSC_1323

外装の黒色がいくらキレイになっても蝶番がこのままでは残念です。

今回はまず手磨きでサビを落としてからバフで磨いて仕上げました。
サビを落とすことは簡単ではありませんが、どんどんサビが落ちてなくなっていく様は、作業をしていて楽しい瞬間のひとつです。

磨いた蝶番は、生まれ変わったように光っています。

DSC_1330

今回のU1Dは長年の経過による汚れなどがピアノ全体を覆っていましたが、キレイにするぞという意気込みで作業に向かいました。結果的にビフォーアフターがはっきりわかる仕上がりになり嬉しいです。

次はアクション調整に入ります。

by志乃

ベルトーン 入庫

12月に入りました。今年も早いもので残り1ヶ月ですね。
街もどこか慌ただしくなる時期です。だいぶ冷え込んできたので体調に気を付けたいと思います。

工房では新たにピアノを入庫しました。
ベルトーンです。
DSC_1403

DSC_1405

ベルトーンは浜松の富士楽器製造、ベルトーンピアノ研究所が製造していたピアノです。昭和7年に浜松の天竜川筋でピアノ製造が始まりました。浜松はピアノの街と言われますが、最盛期には多くのピアノメーカーが競い合い、個性豊かなピアノが次々と誕生していきました。

ベルトーンもそうした時代に生まれていったピアノです。
今回修理のために入庫したベルトーンは、外装はウォルナット色でペダルは2本です。どこか外国を思わせるような佇まいをしています。

修理を依頼されたお客様のご家族の方が大切に保管されていました。ご家族皆さんピアノが好きなようで、しばらく弾かれていなかったこのピアノを、もう一度音が響き渡るようにと修理を決断されました。

これから修理に入りますが、お客様が笑顔でピアノを迎えてくれるように作業を進めたいと思います。

by志乃