Pleyel AL 解体作業

6月から、諸々の状態を観察確認、測定、撮影などをし、解体作業を進めています。

今回の作業は3月半ば納期と決まっています。どんどん進めて問題を見つけて列挙し、出来る人に仕事を振っていかないとなりません。
私は親方的な役割が求められます。自分で手を動かしてやるのが楽ですが、それでは間に合いません。冷静に進めていくつもりです。

外装 鍵盤蓋 内部 正面

セラック塗装の剥がれが、特に高音側板に見られます。

塗装 高音側板

歪みがあるのか、鍵盤蓋を開閉する際に擦れた跡があります。

外装 鍵盤蓋の開閉時の擦れ跡

外装を塗装屋に出して、ポリウレタン塗装することを考えてましたが、厚塗りになるので、更に鍵盤蓋を開閉する際にこすれあってしまうし、他の箇所でも擦れる結果になると予想できたので、工房で薄塗りで仕上げることにしました。下地素地調整をしっかりやらないとならず、大変にはなりますが、頑張ろうと思います。

脚 高音部 キャスター

脚は、飼い犬におしっこをかけられていたそうで、サビが大変ひどく、木材の心材の状態によっては作り直しです。

倉庫にあったピアノをメインの工房に入れました。ギリギリ入りました。

内部全体

内部全体

解体作業に入る前にます。まずは現状で弾いてみて、探っていきます。

現状の確認 試し整音

いろいろ確認し、スタインウエイ系の技術者によって、オーバーホールされていると判断しました。ハンマーも変えてあり、タッチウェイトも確認しましたが、次高音域では大変重くなっていました。ダウンウェイトが通常約50g強いのところ、70gでも落ちないところもありました。本来どのような音だったのかは知る余地もなく、知識のある技術者に相談したり、作業を進めながら感じていき、どのようなハンマーにすべきか決めようと思います。
解体前にはピアニストの筒井一貴さんにも弾いてもらい、感想をいただきました。写真撮り忘れてしまいました。

脱弦作業では、一本ずつピン味を確認しながら少しずつ音を下げていきました。作業途中にすべての弦の太さと長さを測定し、脱弦しました。

脱弦作業

ピンを抜く作業でもピン味を確認し、ピン板に負担をかけないように抜き取りました。

ピン抜き作業

鉄骨のボルトも全て外し、鉄骨を上げるため再び倉庫に移動しました。

鉄骨上げ準備 広角画像

次回は鉄骨を上げます。

孝則

 

HORUGEL 出庫

久しぶりの投稿となってしまいましたが、皆さんお元気でしょうか。

7月2日に出庫しました。1年7か月も工房にあり、いろいろ悩んで考えて進めていったので、無くなったときは喪失感で一杯になりました。
外装は出荷直前まで専用シートに保護していたかったので、出庫日に仕上がりの画像や動画を撮影すると決めていました。しかしこの日の未明に起きたau通信障害などにより、運送屋さんが予定より早い早朝9時になることを事前に知らず、、。
残念ながら撮影できなかったので、前日に作業中に具合を確かめるために撮影した演奏動画と、出庫作業動画(タイムラプス)をアップします。

演奏動画(TSUNAMI 即興アドリブ)

出庫動画(外装のフィルターを外し終わった直後に運送屋さんが来てしまった。)

音は、響板を復活させたので、古く平たくなった感じの音が無く、大きく豊かになるようになり、低音から高音まで十分に出る楽器になったと思います。なんとも言えない味と個性もあり、いい感じになりました。

出庫の数日後、これだけ待たせてしまったのにも関わらず、関係者の方から「とても良い音で本当にありがとうございました」と連絡があり、大変ホットしました。

今回は、ご家族の思い出のあるピアノ、とのことで、愛犬にかじられた脚は、かじられた跡が残ったままにしてあり、鍵盤もきばんだままで、真ん中のドの音にはシールも付いてるままで仕上げました。
それらも含めて完成した画像を取りたかったのですが、通信障害という日と重なり不可能になりましたが、お客様がプライベートを大事にされたい方とも想像出来たので、これでよかったのかなと思っています。
今後のメンテナンスは私ではなく、他の知らない方が見てくださるとの事ですが、末永く使ってくれるといいなと思っています。