レスター 解体

連日の気温30℃越えが続いています。梅雨はどこへ行ったのか、突然夏がやってきた感じがします。慣れない暑さで体力を消耗しそうなので、寝食をしっかり摂りたいと思います。

工房では、レスター、モデルNO.200の解体をしました。

今回は弦交換をしますが、その作業が行いやすいようにまずは底板と棚板を外しました。底板は字のごとくピアノ本体の底の部分で、普段はペダルとペダルに関わる部品が底板に取り付けてあります。棚板には鍵盤がおさまっています。
棚板を外すために脚も取り、続いて底板、棚板という順で外していきました。

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(脚と底板を外したようす)
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(棚板を外したようす)
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どんどん景色が変わっていきます。

本体の解体後、次は弦を取り外していきました。ピンッと張ってあった弦の張力を弱め、専用のカッターで切っていきます。弦はだいぶサビついていました。プチンッパキンッと弦を切る音が工房にしばらく響き渡ります。

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弦の解体後は、チューニングピンを抜いていきました。このチューニングピンも弦交換時に新しいものにします。弦もなくなり、見た目はかなりすっきりしました。

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無事に解体が終わり、ひとまずほっとしました。これから本体の掃除と磨きをした後、新しい弦を張っていきます!

レスター 修理開始

今週は梅雨らしいお天気が続いていますね。湿度が高くて工房内も蒸し暑く、今は除湿器を置いています。少し前までは加湿器が活躍していたのですが、あっという間に気候がガラリと変わりました。W杯開催中のロシアは過ごしやすそうなお天気でうらやましいです!

工房では、レスター(LESTER)、モデルNO.200を入庫して修復を進めています。

レスターは浜松の大和(だいわ)ピアノ製造株式会社が製造していたブランドのピアノです。今回修復をしているレスターは、昭和38年製造。浜松にピアノ製造会社がひしめいて盛り上がっていた時代に誕生したピアノです。

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2本ペダルです。

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修復のご相談を受け、お客様宅でピアノの状態を見たのですが、しっかりした造りで暖かみのある音色を鳴らすピアノでした。製造されてから半世紀経っているので部品の劣化等はありますが、弾いてみるとその年月を感じさせないものでした。主要メーカーに比べ、レスターというメーカー名はあまり耳馴染みがないかもしれませんが、修復して今後もまだまだ演奏を楽しめるピアノだと感じました。
そして何より、持ち主のお客様が購入時から現在までこのピアノをとても気に入られて弾いていらっしゃいました。これから先も大切にしていきたいという想いがあり、今回は工房でのオーバーホールを行うことになりました。オーバーホールをしてさらに魅力あるピアノになるように精一杯頑張ります。また、工房では今回が初めてのレスター修復なので、とてもワクワクしています!

ベルトーン お客様宅へ

サッカーW杯がロシアで開幕しました。時差の関係で、夜から明け方にかけて試合が行われるようですね。少しのあいだ寝不足になる方も多いのではないでしょうか。現地は肌寒い日もあるようですが、熱い熱い戦いになることを期待しています!

工房では、先日ベルトーン、モデルFU33の修理が終わり、お客様宅へピアノを届けました。

(出庫前の工房にて)

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今回の修理は主にアクション修理を中心に作業を進めていきました。弾いても音が出ないなどの症状は直り、どの鍵盤を弾いてもきちんと音が出るようになりました。
修理後の整調作業ではより弾きやすいタッチになるよう、アクションと鍵盤の調整を行いました。そして調律と整音作業で音色が整い、明るく朗らかな響きになりました。最初の状態では音は半音近く下がり、音も出しにくく気持ち良く弾けるような状態ではなかったのですが、元々の音の質はしっかりしていて本体も問題なかったので具合が悪いところを修理、調整した結果、また楽しんで演奏できるようなピアノに仕上がりました。外装も白くもやもやしていましたが、ピカッと光輝く姿に変わりました。

ピアノを出庫してから数日後、お客様宅へ納品調律に伺いました。

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ピアノの下にあるパネルはご主人様のお手製です。椅子の収納にも合わせたオリジナルの形になっています!修理したピアノについて、音やタッチが変わったことはもちろん、外装がキレイに蘇ったことをとても喜ばれていました。外装磨きを行うか迷われていたのですが、磨いて本当に良かったとおっしゃっていただきました。
ご実家で長らく眠っていたピアノが、再び弾かれているのはとても微笑ましい光景でした。これからも素敵な音色を響かせてくれることでしょう。

ホルーゲル 響板修理

関東地方が今週梅雨入りしました。しかしここ2日間は、日ざしが痛いぐらいの晴天に恵まれて帽子や日傘が大活躍です。明日以降は雨傘の出番が続くのでしょうか。少し憂鬱な気分ではありますが、四季の移り変わりを肌で感じます。

工房では、ホルーゲル(GP)の響板修理をしています。
まずは響板割れの埋め木から。
響板はピアノの心臓部です。ハンマーが弦をたたき、弦振動が駒を通して響板に伝わります。そして響板全体が振動することで音が大きくなり、スピーカーのような働きをします。また音量だけでなく音色にも影響があります。
響板割れは長年の温度、湿度変化によって起こります。今回の響板はけっこうな数の割れが見られました。

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割れている場所をよく見ると、板と板のはぎ合わせ部分が割れていました。どうやらはぎ合わせの接着剤が良くなく、接着不良になり引き起こされたものでした。

修理はまず、割れの部分に専用の埋め木が入るように、機械で加工しました。写真にはないですが、慎重に真っすぐ線を引くように機械を動かしていきます。部屋中に木材の匂いが広がります。その後、さらに埋め木を手作業で微調整していきます。何度も入れて確認しながら、ぴったり合うようになったら接着します。

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埋め木の接着後、響板と面になるまで埋め木の出っ張りを削りました。ふと気づくと全身が粉まみれになっていました。

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今回は全部で16本の埋め木をしました。デカール(メーカーのステッカー)にも埋め木が入ったので、後でデカールを補修しようと思います。
響板修理、次は響板のニス塗り直しを行います。響板がどんどん元気になっていくような気がしています!

ベルトーン 外装磨き

今日から6月に入りました。そこかしこでアジサイが美しく咲き始めていますね。アジサイは色彩が豊富で大きさも様々。道端にもたくさん咲いているので、歩きながらふっと心が癒されます。

工房では、ベルトーン、モデルFU33の外装を磨きました。

磨き前は、もやもやした膜で覆われているような状態で、全体が白くくすんでいました。
今回の外装はカシュー塗料で塗装されていました。カシュー塗料は、カシューナッツの殻から絞った油を原料としている塗料です。本来の光沢感がある塗面が蘇るようにバフで磨いていきました。

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磨いていくと、くすみが段々と取れていき、そこからピカッとした黒色の塗面の顔が出てきました。例えるならば、古い角質がボロボロと落ちて本来の美しい肌に戻っていくような感じです。丁寧に、そして慎重に塗面の様子を見ながら進めていき、本体と各パーツの外装は光沢感がある中に落ち着きも感じられる仕上がりになりました。

そして、ペダルと蝶番の金属磨きをしました。ペダルは手磨きで行い、表面に付着したサビをきれいさっぱり落としていきました。

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屋根と鍵盤ふた、譜面台に使われている蝶番は、手磨きとバフで細かいところまでしっかり磨きました。

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ペダルと蝶番の輝きが復活して、外装の黒色とのコントラストが映えると思います。

また、音量をかなり小さくできるマフラーペダルのマフラーというフェルトがかなり傷んでいたので、新しく交換しました。

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ペダルをセットして弾いた時、どのハンマーもマフラーにしっかり当たるように微調整を繰り返し行い、新しいマフラーが完成しました。

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外装関係の作業は、なかなか体力を消耗しますが、どんどんキレイになっていく様が作業をしながら感じることができるので、そういったところがとても面白いです。
ピカピカの見た目はやはり気持ちが良いです!