Steinway & Sons K型 整調

工房では、Steinway & Sons K型の修理を終えて、整調作業に入りました。

まずは、整調の工程を一巡して、ピアノの全体を把握します。

今回は、ミドルエンドのハンマー弦合わせをしているとき、オーバーダンパーのワイヤーがハンマーと擦れてしまう問題が見つかりました。

擦れないようにワイヤーを曲げて、更にハンマーとワイヤーの間隔も揃えました。

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ハンマーレールを取り付けるときに、固定しているL字金具が折れてしまいました。

(下の写真の金色のレールがハンマーレールです)

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低音側の左端のL字金具は左を向き、他3つあるL字金具は右を向いている形です。
取り外しには低音側のL字金具を曲げるしか方法がありません。取り付けた後、アクションを持ち上げようとしたとき、ハンマーレールが外れてしまい、見てみるとL字金具のねじ切りしてある根元の部分で折れていました。

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折れてしまったので、バックチェックワイヤーを加工して、L字金具を作りました。
ワイヤーが細かったので、レールの穴を埋木して、穴をあけ直しました。
下の写真のL字金具がはまっている部分は、元々ゴムでしたが、L字金具のワイヤーがオリジナルより細いので、隙間ができてガタガタしまうことと、そもそも裂けて壊れていたので、L字金具がガタガタしない厚さのクロスに変えました。

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整調はハンマーの走り、傾き、間隔直しからハンマーストップまで一巡し、少し働きが多い印象のタッチになりました。
これから、タッチの方向性を決めて、二週目の整調に入ります。

by真帆

HORUGEL 駒修理

工房では、HORUGELの駒修理に入りました。

駒は上面が割れているなどの大きな破損はなかったため、オリジナルの駒を剥がして使うことにしました。

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通常だと接着ががっちりされていることろなので、簡単には取れない部分ですが、接着剤もはがれやすくなっていました。

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古い駒ピンを抜いていきます。木がやせていて、ピンを簡単に抜くことができました。ピンが緩いと、雑音や弦の一本うなりの原因になります。穴あけやピンの緩さをみて、修理が必要な個所がでてきました。それについては後日のブログで書きます。

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駒の土台は亀裂が入り、木が老けて縮んでしまい、サイズが合わなくなったので、新しく作ることにしました。

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駒の土台作り

ブナの木材を張り合わ、形を加工していきます。形はオリジナルの土台と同じにして、大きさは駒本体に合うように作りました。

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上 長駒の土台 下 短駒の土台

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次は短駒の修理に入ります。

by真帆

小学2年生 生活科「町探検」

今週は、宮原小学校の二年生の生徒さんが、課外授業「町探検」の一環で、今年も工房にたくさんの子供たちが来てくれました。
お隣のパン屋さんに行くグループとピアノ工房に来るグループ、そして保護者の方や先生で、お店の前は子供たちがいっぱい集まってとても賑やかでした。
因みに町探検の写真は、プライバシーの関係で撮影しませんでした。

工房とパン屋

いつもは、午前中の2時間の間に、一つのグループで7人ずつ来るのですが、今年もいつもとほぼ同じ生徒数なのに、コロナ禍の影響もあるのか、1時間で一つのグループ5人ずつだったので、いつもよりも多くのグループを半分の時間でさばいていく感じでした。子供たちは質問をして少しピアノの中を見ているうちに次のグループが来ているので次、という感じでゆっくり質問や見学ができなかったグループもありました。

そんななかでも、ピアノの中に興味津々な子もいれば、工房や機械や工具に興味がある子もいて、各々気になったことを質問したり、デジカメで写真を撮ったりしていました。子供らしい質問も多く、中でもドキッとしたのが、「どうして鍵盤によって音が違うんですか?」という質問。何から説明していいか私が固まってしまい、朋子さんがピアノの中を見せながら音を出して説明し、みんな納得していました。
短い時間でしたが、とても濃い時間になりました。子供たちにも印象に残ってくれていたらうれしいです。

by真帆