工房では、Steinway & Sons K型の修理を終えて、整調作業に入りました。
まずは、整調の工程を一巡して、ピアノの全体を把握します。
今回は、ミドルエンドのハンマー弦合わせをしているとき、オーバーダンパーのワイヤーがハンマーと擦れてしまう問題が見つかりました。
擦れないようにワイヤーを曲げて、更にハンマーとワイヤーの間隔も揃えました。
ハンマーレールを取り付けるときに、固定しているL字金具が折れてしまいました。
(下の写真の金色のレールがハンマーレールです)
低音側の左端のL字金具は左を向き、他3つあるL字金具は右を向いている形です。
取り外しには低音側のL字金具を曲げるしか方法がありません。取り付けた後、アクションを持ち上げようとしたとき、ハンマーレールが外れてしまい、見てみるとL字金具のねじ切りしてある根元の部分で折れていました。
折れてしまったので、バックチェックワイヤーを加工して、L字金具を作りました。
ワイヤーが細かったので、レールの穴を埋木して、穴をあけ直しました。
下の写真のL字金具がはまっている部分は、元々ゴムでしたが、L字金具のワイヤーがオリジナルより細いので、隙間ができてガタガタしまうことと、そもそも裂けて壊れていたので、L字金具がガタガタしない厚さのクロスに変えました。
整調はハンマーの走り、傾き、間隔直しからハンマーストップまで一巡し、少し働きが多い印象のタッチになりました。
これから、タッチの方向性を決めて、二週目の整調に入ります。
by真帆