先輩が持ってきたアクション。恐らく100年以上前のBechsteinのアップライト。アクションブラケットが鋳物ではなく、木材なので間違いない。機種は聞き忘れてしまった。
ハンマーがガタついて、最悪隣のハンマーと当たって音が出なくなるから、ガタつきを取ってほしいとのこと。妻が子育ての合間に作業した。
見た目は綺麗だった。恐らく日本で修理され、新しいアーベルのハンマーが付いていて、他の革やフェルトも交換されている。我々が「よくやる作業」はされていた。でも世界でたくさん作られた時代のピアノだったら、「よくやる作業」で十分だが、これだけ古いピアノはしっかり向き合って、基本的な部分から確認していかないとならない。ハンマーAssyを全て外して見ていくことにした。
下の写真のように少々木が崩れてるのもあるが、今のタイプとサイズ違うので、新しいものと変えるには特注しないとならない。
時間とコストを踏まえ、項目を上げて表化し、一つ一つ記入しながら作業した。
100年以上たったピアノ。何人もの技術者がいじってきたのだろう。その場しのぎの修理をいろんな方法でされていた。
作業終了後、今後も先輩や他の技術者(自分も含めて)が面倒をみやすいように、内容を分かりやすくまとめた。将来必要となりそうな特殊な部品は、封筒に入れてピアノの内部に入れてもらうことにした。
因みにこの表は、アクションのたった1つの関節を検証した表にすぎない。今頭に思い浮かぶだけでも、他にも関節が4か所、接点が7か所はある。
あくまでも今回の仕事は、依頼者の目的を達成する事。仕上がりに満足してくださったようで良かった。
孝則