レスター 弦交換

7月も残りわずかとなりました。台風が接近中とのことで、工房から見上げる空は心なしか曇ってきたように思います。大きな被害がでないように願うばかりです。

工房では、レスター、モデルNO.200の弦交換をしました。
本体の解体後、本体部品の磨きと掃除をしてからの作業スタートです。

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最高音から張り始め、中音~低音と進んでいきます。弦の太さは段々と太くなっていき、張る長さもぐんぐんと長くなります。低音の巻線、特に最低音のあたりは一本の弦の重みがずっしりと手に感じます。

張った直後は弦を弾いても、まだまだ音というにはほど遠いものですが、そこから弦の張力を少しづつ上げていきます。同時にチューニングピンを大きなかなづちで打ち込んでいく作業などの、体力を必要とする場面も多くありますが時折休憩を挟みながら着々と工程が進んでいきました。

張った直後の低音巻線
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チューニングピンの打ち込み風景 打ち込む音がガンガンと大きいので耳栓が必需品
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仕上げの段階の時には弦はピンと張り、指で弦を弾くと明るく伸びのよい音色を感じました。張りたての弦を鳴らす瞬間は毎回ワクワクします。

 

終了後、ピアノを起こしました
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アクションを付けて音を出す日が楽しみです。暑い日の作業でしたが、順調に弦交換が終わりほっとしました。次はアクション修理に入ります。

Bechstein D 定期メンテナンス

とにかく暑い!という会話が至るところで聞こえてきた今週です。今朝のニュースでは、この土日の暑さを「極暑」という表現を使っていましたが暑さを表現する言葉は多彩ですね。
ほんのわずかな風が心地よいと感じる今日この頃です。

そんな暑い埼玉を今週2日留守にして、会津田島(南会津町田島)へ、ベヒシュタインの定期メンテナンスに行ってきました。ピアノは、御蔵入交流館という複合施設内の文化センターにあります。
ご縁がご縁を呼び、10年ほど前からさいたまピアノ工房が定期メンテナンスをしています。今回は工房スタッフ3人、1泊2日の日程で行いました。

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会津田島に到着した時、開口一番「涼しい!」と感激したほど爽やかな風が吹き空気が澄んでいる天候で、暑さにやられていた私達には願ってもない環境でした。それでも地元の方は「暑いですねー」と真逆のことをおっしゃっていて、なんだかおもしろい会話になりました。
会津田島では明日から三日間、『会津田島祇園祭』というお祭りがあり、毎年この時期になると町の方は準備などで忙しくなるそうです。ちょうどお祭り前だったので、駅ではお祭り音楽が流れていたりと町中がとても活気に溢れていました。

さて、ピアノはベヒシュタイン モデルD コンサートグランドピアノです。

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最初に音を鳴らした時はタッチが少し重く感じましたが、これはピアノ内部で多少の結露が発生したためにアクションの動きがやや鈍くなってしまったものでした。
まずは整調、調律の前にアクションと鍵盤を外して部品の金属磨きと掃除をしました。

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これは毎年行っている作業です。金属部品を触ってみると、かなりべたつきがあり滑りが悪くなっていたので、丁寧に磨いて触り心地がつるつるになるように仕上げました。
下の写真は鍵盤についているキャプスタンボタンという金属部品の磨きです。ボタンの上の面が見た目でもわかるぐらいにくもっていました。写真にはありませんが、鍵盤を収めている金属のピンも磨きました。

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またダンパー(止音をする部品)も全て外して、ダンパーワイヤーという金属部品も同じくべたつきがあったため磨きました。

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この作業後、アクションを一度ピアノに戻して弾いてみると、最初に比べタッチが軽くなっていました。
今年は3人での作業なので、この機会に始めて大屋根を取り外しました。今がチャンスとばかりに大屋根の蝶番磨き・ヒンジのサビ磨き・蝶番のネジ締め、そして大屋根があることで普段は届かない所の掃除を行いました。

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サビや汚れを一掃することができて良かったです!そしてしっかりと状態を確認しながらアクション調整、整音と調律を行いました。

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メンテナンス終了後のピアノは、芯のあるしっかりとした音色と重厚な響きが素晴らしく、ホール全体を包みこんでいました。今後も地元の方に愛されるピアノとなってもらいたいです。担当者様や町の方にも大変お世話になり、とても充実した2日間となりました!

YAMAHA C5 本体磨き&掃除

明日から三連休の方も多いのではないでしょうか?猛暑が続くらしいので、プールや涼しい施設など賑わいそうですね。こちらでは日曜日に地域のお祭りがあります!

工房では、YAMAHA、モデルC5の本体の磨きと掃除を行いました。

下の写真はアグラフという部品で、このピアノには低音と中音に付いています。(ピアノによって異なります)このアグラフの穴に弦が通ります。サビが付着していて、だいぶお疲れの様子。小さい部品でなかなか磨きにくかったのですが、道具と指をうまく使ってきれいになりました。

(スチールウールで磨きました)
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(ピカピカになりました)
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高音には、カポ・ダストロ・バーという部品があります。(通称カポ)鉄骨の一部分にこの部品はあり、鉄骨の裏側なので普段は見えません。このカポが弦を上から押さえています。

(鉄骨裏側から見た景色。弦の張力が落ちていて分かりずらい写真ですが、弦に当たっている銀色の長細いものがカポ・ダストロ・バーです)

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カポには年月とともに弦のあとが深く付いたりサビも発生し、それらが原因で音色の雑音を引き起こすことがあります。高音域にはザラっとした音色がありましたが、カポを磨くことで雑音の解消に繋がります。このカポは鉄骨の裏側にあるため鉄骨を外した時は裏返して普通に磨けるのですが、今回のように鉄骨を外さずに磨く場合は目視が難しいので、鏡やライトを使って工夫しながら弦のあとを取り除くように磨きました。

駒ピン、ヒッチピンというピン類はくもっていたので、こちらも一本づつ磨いていきました。徐々に本体内部も光りだしました。

(ヒッチピン 右側 磨き前 左 磨き後)
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磨き作業後、鉄骨と響板の掃除を行いました。どちらも掃除前は真っ黒に汚れてはいませんでしたが、掃除をすると色味がはっきりして全体がぱっと明るくなりました。

(磨き、掃除前)
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(作業後)
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本体の磨きと掃除が終わり、次は弦交換に入ります。

YAMAHA C5 修理開始

7月に入りました。各地で夏のイベントが行われる季節がやってきましたね。今年はどんな夏の思い出ができるでしょうか?

工房では、YAMAHA、モデルC5を先日入庫して修理を開始しています。

1988年(昭和63)製造。
3年ほど前から親しくさせていただいているご近所の調律師さんのお客様のピアノで、このピアノが納品されてから現在まで調律をされています。
工房にとっては久しぶりのYAMAHAグランドピアノの修理です。

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音量のバランスが良く弾きやすいピアノではあるのですが、中音~高音にかけてザラっとした音色があり、少し窮屈さを感じる響きとなっていました。ハンマーは長年使用しているのでかなり弦の溝が深くなっていました。
今回は弦交換と弦交換に関わる作業、そしてハンマー交換を行い音色の厚みを増してふくよかに響くようにしたいと思います。また本体とアクション部品の金属類を磨いて、機能的により良くなるようにします。見た目もキレイになることでしょう。

では修理開始です。

弦交換をするために、張ってある弦を解体していきました。

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同じく修理中のレスターピアノも先日弦の解体をしたので、工房には外した弦の束が袋いっぱいになる光景となりました。
屋根はスタッフ皆で取り、作業がやりやすい環境になりました。

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解体は順調に進んでいます。本体内部は、一見すると汚れはひどくなく見えたのですが、弦がなくなり隅々まで見えるようになるとやはりホコリや汚れが溜まっていました。
弦交換前に金属磨きと掃除をしていきます!