シュベスター 黒鍵交換

工房では、お客様からの依頼で黒鍵交換を行いました。

ピアノはシュベスターのアップライトピアノです。

黒鍵が沢山弾かれて、よく滑る質感になっていました。

写真だとわかりにくいですが、黒鍵上面の角が取れて、滑りやすくなっていました。

交換する黒鍵は、JAHEから取り寄せた黒檀です。
比較してみると鍵盤上面のエッジがしっかりとあります。
写真では判りにくいのが残念ですが、手で触ってみると違いははっきりしています。

写真の左3本が黒檀、右3本がオリジナルの黒鍵(樹脂)です。

今回、交換するにあたって、悩んだ点がありました。
黒檀そのものの上面はツルっとした質感でした。
工房には、もう一つベークライト(艶消し)の黒鍵があり、比較して黒檀よりも上面は引っかかりのある質感でした。

そこで、お客様と連絡を取り、どちらがいいか再度決めていただくことになりました。
しかし、電話だけでは決めるのは難しく、お客様のお宅にお邪魔し、実際に黒鍵を仮に接着し、弾いた質感で決めていただくことにしました。
お客様のお宅に到着し、黒鍵を弾き比べていただきました。

ベークライト(艶消し)は、表面の滑らない質感はありました。こちらに交換して、オリジナルの黒鍵で思った滑る質感はなく、艶消しも高級感があっていいると思いました。
黒檀はツルっとした質感だったので、滑ってしまうのではないかと心配していましたが、黒檀のみで触った質感と、鍵盤として弾いたときの黒鍵の質感は違いました。上面のエッジがしっかりある事で指にしっかりと存在感を感じ、木の質感の良さを感じました。

お客様も悩まれていましたが、黒檀の方が指馴染みが良く、気持ちがいい質感ということで、黒檀に決まりました。

お客様にも納得していただける方向になって、一安心です。

そして、先ほど交換が終わりました。

明日は納品し、調整します。

ホールピアノ 定期メンテナンス

今回は、栗橋文化センターのホールにある、ピアノのメンテナンスに行ってきました。
ピアノは、スタインウェイD型1994年製です。

こちらのメンテナンスは今回で4回目になりました。
毎回、調整や鍵盤のピンの掃除、キャプスタンの掃除などは行いますが、ピアノをいい状態にしていくための作業をしています。
前回までは、鍵盤の剥がれやエラーを無くしていくことに徹していました。
今回はハンマーが弦に対して真っすぐ動くようにハンマーの走り、傾きを調整しました。

ハンマーが弦に向かって斜めに進んでしまうと、ハンマーが弦を打つ力が逃げてしまいます。音のパワーや音色、タッチにも直結します。

そして、バランス、フロントピンの掃除とキャプスタンの掃除、鍵盤ホールの掃除をします。こちらは、毎年行っている作業です。

鍵盤系の掃除をしている間、親方はダンパーの総上げの調整をしていました。

アクションを組んで、サポートのスプリングの掃除もしました。スプリングの汚れは雑音の原因にもなります。

親方が外装を磨いているとき、私はハンマーの打弦距離を揃える作業をしていました。

KIMG1641 (1)

作業後、チェックしてもらいました。多少デコボコしていると指摘されましたが、最初はよくわからず戸惑いましたが、キャプスタンを回して、助言をもらって進めるうちに、少し見えてきました。
本当に突き詰めると、音に現れますが、その道のりは容易ではないと感じました。

さて、メンテナンスも終盤に入り、整音、調律をして、整えていきます。

整音作業の様子

調律の様子

メンテナンス前はハンマーの走り、傾きがひどく、音の粒の不ぞろいや音の伸びが少なくなっていましたが、直したことで、音の粒がそろい、音の伸びも良くなりました。

今後も、ピアノがいい状態が保たれるようにメンテナンスしていきます。

by真帆

YAMAHA G5E アクション修理➁

工房では、YAMAHA G5Eの修理を進めています。
今回は、鍵盤のバランス、フロントピン磨きと鍵盤調整、ローラーの掃除、ハンマーファイリング(ハンマーを削り、形を整える)をしました。

まずは、鍵盤のピン磨きです。この鍵盤のピンは、鍵盤の軸になる部分です。
鍵盤のホールの掃除や鍵盤のブッシングクロスを替えても、ピンが汚れていると再び汚れがついてしまいます。
ピンがサビて表面が荒れていると、キーブッシングクロスやホールにダメージを与え、消耗が早くなります。
ピンの表面がサビでヤスリのようになっている場合、凹凸が取れるまで磨くとピンが細くなってしまうので、キーピンの交換になります。

今回は、見た目はサビていますが、表面を研磨剤で磨くと取れるくらいでした。

バランスピン

磨く前

磨いた後

フロントピン

磨く前

磨いた後

ピンを磨くと、タッチもスムーズになります。

鍵盤を木の枠(筬 おさ)に入れて、鍵盤調整に入ります。

今回は鍵盤のブッシングクロスを交換しました。(前回のブログより)
鍵盤調整をしないままだと、ハンマーが上がったままで鍵盤も戻ってこない状態です。

キーブッシングクロスに工具で圧をかけて鍵盤のピンとの間隔を調整し、鍵盤の動きも良く、ガタついた感覚もないようにします。
これで、鍵盤の修理は完了です。

アクションの修理に入ります。
ローラーに古い黒鉛がくっついていました。触ってみると少し粘度があったので、ふき取りました。

ふき取る前

ふき取り後

ハンマーはしっかり弦の溝がついていました。
ハンマーは、新品の状態から弾かれて弦を打つことによって、形が変化していきます。
ハンマーファイリングで弦の溝を取りつつ、ハンマーの形も整形していきます。

左側 ファイリング前 右側 ファイリング後

アクションの修理もあともう一息です。

by真帆