ホルーゲル ウィペン修理 

過去のおすすめ記事はこちら↓

新旧YAMAHAのアクション。

Vicotr ロゴ

Eastein,model U

 

工房では、昭和12年製のホルーゲルの修理を進めています。

アクションの中のウィペンという部品に関連している部分の修理、掃除を行いました。

まずは、お掃除です。
ウィペンの上には長年のホコリが溜まっていました。
この部分をすべて外すことは、お客様宅では滅多になく、自然とホコリが溜まりやすい場所なので、この機会に汚れやホコリをふき取ります。

スプーン磨き

ウィペンには、スプーンのような形の部品があります。これはダンパーレバーと接する部分です。

スプーン 前

スプーンの頭の部分がサビてヤスリのような表面になり、ダンパーレバークロスに穴があいていました。

ダンパーレバークロス 穴

 

スプーンの表面を磨いて、引っ掛かりのないツルっとした表面にします。

スプーン 後

ウィペンヒールクロス交換

ウィペンと鍵盤をつなぐキャプスタンと接するところがヒールクロスです。

(キャプスタンの修理記事はこちら

ヒールクロスが虫食いにあっていたため、接している表面がデコボコしていたため、新しいクロスに交換しました。

 

ヒールクロス 交換前

ヒールクロス 前

ヒールクロス 交換後

ヒールクロス あと

 

フレンジ、ジャックのセンターピン交換

ウィペンフレンジは動きが悪くなっていました。

センターピンを見てみると、汚れとサビがついていました。85個すべて交換しました。

一つだけエラーがあり、カクカク動くフレンジがあり、センターピンを抜いてみると曲がっていました。

 

センターピン

センターピンのブッシングクロスがダメージをあまり受けていなかったので、ブッシングクロスの穴の中の形を整えてセンターピンを交換して正常な状態に戻りました。
センターピンは汚れやサビがひどくて、ウィペンから抜き取るのに想像以上に大変でした。
工具を握る手が痛くなりそうだったので、この仕事では普段使わない軍手をして作業しました。

ウィペン センターピン交換
ジャックの動きを確認しながら、ジャックのセンターピンも交換しました。

これでウィペン修理は完了です。
次はダンパー修理に入ります。
by真帆

 

 

過去のおすすめ記事はこちら↓

新旧YAMAHAのアクション。

Vicotr ロゴ

Eastein,model U

 

 

ヤマハ 鍵盤貼り替え 

鍵盤貼り替え、修理の過去の記事はこちら↓

YAMAHA 白鍵交換

象牙鍵盤漂白

ベヒシュタイン 鍵盤修理

 

鍵盤貼り替え

工房ではヤマハ アップライトピアノの鍵盤貼り替えを行いました。

交換前 3

 

鍵盤貼り替え前

この鍵盤は、当初白鍵上面が割れて剥がれてしまった鍵盤2本のみの上面貼り替えを行いましたが、その後ピアノを弾いているうちに他の鍵盤も剥がれてきてしまった為、白鍵上面をすべて交換することになりました。
剥がれているところ以外にも、白鍵上面にひびが見られ、剥がれてくる可能性があります。

交換前

まずは鍵盤の掃除をして古い白鍵上面を剥がしていきます。

アイロンと濡れ雑巾で蒸気をあてて剥がしていきます。今回の鍵盤はすぐ剥がれました。接着が弱くなり、ほかの鍵盤も剥がれてくる可能性がありました。
しかし、剥がす作業としてはとてもきれいに下地も傷まず、すぐとれたました。

下地が平らかどうか確認します。この下地のほとんどは平らできれいですが、中には多少反っているものもあり、ペーパーをかけて整えました。

鍵盤 剥がした後

 

白鍵貼り作業

新しい鍵盤を貼っていきます。

鍵盤の貼り替えを何度かしましたが、確認を怠ると鍵盤の上面が下地と接着不良だったり、上面が少し浮いていたり、下地と白鍵がずれてしまって貼りなおすことが今まで多々ありました。(その都度直してお届けしています)
ピアノは鍵盤楽器なので、鍵盤の貼り替えには神経を使います。白鍵52本の全ての鍵盤一本一本に気を付けて正確に貼っていくことが大事なことだと毎回感じます。

張替え中

 

きれいな白鍵になりました。

鍵盤 張替え後

これから加工していきます。

by真帆

 

以前の白鍵貼り替え、修理の記事はこちら↓

YAMAHA 白鍵交換

象牙鍵盤漂白

ベヒシュタイン 鍵盤修理

 

ホルーゲル 鍵盤修理 その2

工房では、ホルーゲルピアノの修理を進めています。

今回はキャプスタンの交換とキーバックレールを交換しました。

キャプスタン 古

 

ホルーゲル鍵盤修理 キャプスタンの修理

キャプスタンは、鍵盤とアクションをつなぐ重要な部分です。

パイロットという部分を回してアクションと鍵盤の間隔を調節します。

キャプスタン 折れ

長年回していないと固まってしまい、回すとワイヤーからポキっと折れてしまいます。

なのでワイヤーから抜いて交換しました。

埋木

鍵盤によっては木が弱くなり、新しいキャプスタンを植えて回してみたときにワイヤーの根本から回ってしまうものもあったため、穴に埋木をして穴を開けなおして再度打ち込み、ワイヤーから回らないか確認しました。

キャプスタン 新

ホルーゲル鍵盤修理  キーバックレールの交換

キーバックレールの交換を行いました。

キーバックレール 古

キーバックレールも虫食いにあっていました。

キーバックレールを剥がしてみると、エンジ色の布で何層にも重なった緑色の布が重なっていました。

今では、布ではなくクロスを使っているものをよく見ます。

キーバックレールに使うクロスの厚さを確認し、カットします。厚いクロスを切るのはなかなか大変です。

キーバックレール 新

貼り付けつ位置を確認し、接着しました。

これで鍵盤関連の修理は完了です。

by真帆

ホルーゲル 鍵盤修理

工房では、昭和12年製ホルーゲルピアノの修理を進めています。

鍵盤のバランスピンの交換を行いました。

バランスピン 交換前

バランスピンが錆びてしまい、表面がヤスリのようになっています。サビに引っかかって鍵盤が抜けにくくなっている箇所もありました。

サビを落とし、磨くと細くなってしまい、鍵盤ホールガタの原因になります。

なので、古いバランスピンを抜いて新しいバランスピンに交換していきます。

バランスピン 打ち込み途中
バランスピン 打ち込み
フロントピンはバランスピンほどサビはなく、交換せずにきれいに磨きました。

磨く前
フロントピン 磨き前2
磨いた後
フロントピン 磨き後

ブッシングクロスは経年劣化により、すり減った部分と虫食いにあった部分がありました。

バランスブッシングクロス 交換前
bブッシングクロス 古

フロントブッシングクロス 交換前
fブッシングクロス 古

バランス、フロントブッシングクロスを張り替えます。

このピアノは製造されてから82年経過しているため、オリジナルと同じ厚さのクロスと交換していいとは限りません。
今回は、ブッシングの厚さを決めるサンプルを高音、中音、低音部のように、セクションごとに試しました。

フロント、バランス共に、1.1を試しに張ったところ、ガタになりました。

ブッシングの厚さを決めるときは、工具で調整してガタやスティックにならない丁度良い厚さをねらいます。

結果的に、どのセクションもバランス、フロント共にクロスの厚さは1.2になりました。

バランスブッシングクロスの貼り付け
bブッシングクロス 貼り付け

バランスブッシングクロス 交換後
bブッシングクロス 交換後

フロントブッシングクロス 交換後
fブッシングクロス 交換後

これからブッシングを調整していきます。

キーピン 交換後

by真帆

ホルーゲル 象牙鍵盤漂白

工房では、昭和12年製ホルーゲルピアノの修理を進めています。

象牙鍵盤は経年変化や手の汗などで黄ばみが出てきます。
特に中音から次高音にかけては、良く弾かれる音域なので目立ちます。

象1

現在では、新品の象牙は手に入らず、新品の象牙とは交換することが出来ません。
今回は、象牙を漂白して黄ばみを出来るだけ落としていきます。

快晴のお天気の日が漂白日和です。

障子紙を鍵盤を並べた上にかぶせて、その上に過酸化水素水(オキシドール)を塗って、日に当てるという作業を数回繰り返します。

象 漂白中

色が白に近づいてきました。真っ白というよりは、クリーム色になりました。

象 漂白後

漂白作業中に象牙が剥がれてきました。熱と水分で象牙が剥がれるほうに反ってしまいました。
なので、アイロンと湿らせた布で蒸気をあてて接着しました。

(写真では、奥側が固定して接着している様子手前は剥がれている様子)
象 剥がれ 

最後に、鍵盤の黄ばみの面影が少し残る中音部分を中心にペーパーで研いでいきます。
ペーパーは400、600、800、1000番という順に番手を上げて研いでいきました。

象 加工後

象牙鍵盤はとてもデリケートな素材で、扱いもその分難しいです。
熱と水分で形が曲がりますし、研いでいると柔らかく、削れやすい部分もあります。
だから人の指には優しく、そしてなじむと感じました。
手作業をしていると、いろいろな発見があって面白いです。

by真帆