工房では、昭和12年製ホルーゲルピアノの修理を進めています。
象牙鍵盤は経年変化や手の汗などで黄ばみが出てきます。
特に中音から次高音にかけては、良く弾かれる音域なので目立ちます。
現在では、新品の象牙は手に入らず、新品の象牙とは交換することが出来ません。
今回は、象牙を漂白して黄ばみを出来るだけ落としていきます。
快晴のお天気の日が漂白日和です。
障子紙を鍵盤を並べた上にかぶせて、その上に過酸化水素水(オキシドール)を塗って、日に当てるという作業を数回繰り返します。
色が白に近づいてきました。真っ白というよりは、クリーム色になりました。
漂白作業中に象牙が剥がれてきました。熱と水分で象牙が剥がれるほうに反ってしまいました。
なので、アイロンと湿らせた布で蒸気をあてて接着しました。
(写真では、奥側が固定して接着している様子手前は剥がれている様子)
最後に、鍵盤の黄ばみの面影が少し残る中音部分を中心にペーパーで研いでいきます。
ペーパーは400、600、800、1000番という順に番手を上げて研いでいきました。
象牙鍵盤はとてもデリケートな素材で、扱いもその分難しいです。
熱と水分で形が曲がりますし、研いでいると柔らかく、削れやすい部分もあります。
だから人の指には優しく、そしてなじむと感じました。
手作業をしていると、いろいろな発見があって面白いです。
by真帆
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