ベルトーン アクション修理

5月も残りわずかとなりました。今月はゴールデンウイークに始まり、こどもの日、母の日、早いところでは運動会などイベントがたくさんあった月でした。来月は梅雨が始まり、雨の日が多いのでしょうか。どんな1ヶ月になるか楽しみです。

工房では、ベルトーンモデルFU33の修理が進んでいます。
今回の修理のメインであるアクション修理を行いました。
まず、センターピン交換をしました。
センターピンは、アクションパーツの運動の軸となるところで、人間で例えると関節部分にあたります。

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修理前の状態では、弾いた時に音が出ない、弾きにくい鍵盤が多くありました。今回のこれらの原因の多くは、センターピンが固くなっていたことだと考えられます。センターピンを適切な固さに調整することで、アクションパーツの運動がスムーズになり、弾きやすさにも繋がっていきます。
センターピンは固さに応じて太さを選びます。

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ハンマー、ウイッペン、ジャックというパーツのセンターピンをほぼすべて交換しました。

ハンマーフェルトはファイリング(ハンマー整形)をしました。
音色が豊かにはっきり発音するように、1本1本手作業でフェルトの形をヤスリで整えました。

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形が整うと同時に、フェルト表面の黒い汚れも取れ、見た目もキレイになります。

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ハンマーの戻りを助けるブライドルテープという部品は、ブチブチとテープが切れてしまったので、新しく交換しました。

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また、鍵盤はキレイに掃除をし、鍵盤がおさまるバランスピン、フロントピンは丁寧に磨きました。くもっていたピンが手触りつるつる、見た目ピカピカのピンに生まれ変わりました。

(バランスピン 磨き後)
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アクションと鍵盤の修理が終わり、本体に取り付けました。整調作業をしていないので、タッチにばらつきはありますがアクション部品がスムーズに動き、明るい音色をしています。とても仕上がりが楽しみです。

ホルーゲル 解体

今週は、気温がぐんぐん上がり、日中は夏の陽気でした。工房内もかなり暑くなったので、季節的にはまだ早いですが今年初めて冷房をつけました。街を歩いていると、日傘をさす人、帽子を被る人が日を追うごとに増えていて、夏の訪れを感じます。

工房では、先日入荷したホルーゲルの解体をしました。

弦の解体から始め、チューニングピンやその他部品も順に取り外していきました。

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手が黒くなりながら、テンポ良くどんどん解体が進んでいきました。

場所を移して、大屋根も外しました。大屋根にはしばらくの間、お休みしていてもらいます。

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そして、鉄骨を外す作業に入りました。まずは鉄骨のネジを取るのですが、複数あるネジがどれも全く回らず、ある一本はネジ頭が折れてしまうなどもあり、作業は一時難航しました。しかしネジを取らないことには、鉄骨を外すことが出来ないので、ネジが回りやすくなるような工夫を色々と行いました。その結果ネジが取れ、鉄骨も無事に外すことが出来ました。

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解体が一段落し、かなりスッキリした本体。解体前とは全然違う景色です。

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これからは本格的に本体修理が始まっていきます!

ベルトーン 入庫 修理開始

ゴールデンウィークが終わり、工房にも穏やかな日常が戻ってきました。
今週は雨が降って気温も下がり、しまったばかりの冬物を引っ張りだすぐらいの寒さの日もありました。日によって気温差が激しいので、体調には十分気を付けたいと思います。

工房では、ベルトーン、モデルFU33を先日入庫しました。

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1969年(昭和44年)製造。修理をしてお客様宅へ納めます。
今年の冬から春先にかけてベルトーン、モデルNo50(1965年前後製造)を修復しましたが、今年2台目のベルトーンです。

修理を依頼されたお客様が子供の頃弾いていたピアノです。
お客様は再びピアノレッスンを再開されて、しばらくは電子ピアノで練習していましたが、やはりアコースティックピアノで演奏を楽しみたいと思われて、ご実家にあったベルトーンを運んで使えないかと考えられました。しかしピアノは長年弾かれていなかったため、弾ける状態であるのかどうかを見てほしいと、当工房にご依頼がありました。
ピアノを見てみると、アクション部品の劣化や不具合が見られ、満足に音が出せる状態ではありませんでしたが、音の質はしっかりとしていてパワーを感じました。音を鳴らしていると、眠っていたピアノがむくっと起きてきた感じがしました。
お客様と相談して、心地よく演奏ができるように、工房で必要な修理をすることになりました。また楽しんで弾いていただけるように、作業していきたいと思います。

入庫後、全体の状態を確認して作業は掃除からスタートしました。

本体ピアノ裏は、普段は中々掃除できないところです。

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この機会に長年溜まった汚れをしっかり拭き取り、スッキリしました。

本体内部にもホコリや汚れがこびりついていて、金属部品はサビているところがありました。作業によってはピアノを寝かせて行いました。

(鍵盤下の掃除)
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(チューニングピン磨き 左側、磨き前 右側、磨き後)
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作業を進めていくうちに、汚れでどんよりしていた景色が、どんどん明るくなっていくのが分かりました。

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掃除前と比べると、リフレッシュしたような感じになり、とても気持ちがいいです。

次はアクション修理に入ります。