YAMAHA C5 お客様の元へ

先週あたりから、外の空気が少し柔らかくなり始めて気分もほっとしています。あんなに聞こえていたセミの大合唱は、いつの間に無くなり、季節の移ろいを感じますね。

工房では、YAMAHA、モデルC5がお客様の元へ戻っていきました。

出庫前のピアノ
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弦の交換後、ハンマー交換等の修理を終えて、整調・調律・整音作業をしていきました。整調作業では、弾きやすいタッチになるように様々な工程を行います。このピアノを長年調律されていて、今回の修理をご依頼してくださった調律師のYさんに最終の整調作業をしていただきました。整調がどんどん整ってタッチが弾きやすくなると、それに伴いしっかりハンマーが弦を叩き、芯のある音になっていきます。
整調・調律と進み、整音作業では音色の粒を揃え、1音1音がより豊かに鳴るように微調整をします。音を聴く、作業する、を繰り返すごとに音色の変化を感じます。

音色を確認
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針刺しの風景
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整音までの工程が終わったピアノは明るく軽やかな音色はそのままに、更に高級感漂う音色になりました!中音・高音のザラっとした音も無くなり、メロディーラインの響きはふくよかに歌っているようです。今回の修理で長年使用されていたピアノがリフレッシュして、また末永くお客様に愛されるピアノになったと思います。

本体内部も掃除や磨きをしたので、ピカピカになりました!
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戻ってきたピアノに対してお客様は、「おかえりなさい!」という気持ちになられたそうで、そう思って頂けたのはとても嬉しいです。ピアノはこれからもたくさんの歌声を響かせてくれることでしょう。

by志乃

レスター アクション修理

明日から9月がスタートです。段々と日が短くなり秋の果物が店頭に並び始め、ようやく秋の気配を感じるようになりました。ただ最近は雷が突然やってくる日もあり、とても怖いです。

工房ではレスター、モデルNo.200のアクション修理をしました。先日はハンマー交換をしましたが、今回はそれ以外の部品の修理です。

アクション関連の部品は、部品同士が当たる・接触するということが多く、どちらか片方の状態が良くないだけで雑音の原因や弾きづらさに繋がっていきます。アクション部品にはフェルトやクロス、革などの素材も多く使われていて、たくさん弾かれていたこともありかなり傷んでいました。

まずキャッチャースキンという部品の貼りかえ修理をしました。革が使われていますが、他の部品と接しているいるうちに徐々に革が薄くなっていました。

貼りかえ中
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貼りかえ後
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次にウイッペンヒールクロスという緑のフェルトのパーツを交換しました。こちらも他の部品と接触する度に、フェルトが減ってきていました。

交換後
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そしてダンパーレバークロスの交換。弾いた時にスプーンという部品がこのクロスに当たるのですが、たくさん当たっていたことでクロスが減り、中にはスプーンの跡がくっきり残っている物もありました。

交換前
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交換後
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こちらがスプーンです。本当にスプーンの形をしています。(かなり小さいですが・・)ピカピカに磨いて、ダンパークロスと当たった時に余計な摩擦が起きないようにします。

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金属部品では、他にダンパーロッドという部品を磨きました。
(左側、磨き前 右側、磨き後)
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それぞれの修理が終わり、アクションを本体に取り付けてこれから整調作業がスタートします。機能・見た目共に元気になったピアノの音はとても新鮮な感じがしました。そしてしっかりした音でよく響いています。今後の調整でさらに良いピアノになると思います!

ホルーゲル 鉄骨と駒ピンの磨き

8月も終わり近づいてきました。学生さんたちはそろそろ学校が始まりますね。この暑さはまだしばらく続きそうですが、だいぶ体も暑さに慣れてきたように思います。

工房ではホルーゲルの修理を行っています。ブログでは少しご無沙汰していましたが、秋の納品に向けて工程が進んでいます。

響板修理のために外した鉄骨ですが、その鉄骨の掃除と磨きをしました。

磨き前の鉄骨①
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磨き前の鉄骨②
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鉄骨全体が黒い汚れに覆われていたので何度も雑巾で拭いて汚れを落としました。雑巾は真っ黒です。

 

鉄骨裏も掃除
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汚れを落としてからさらに磨き上げたところ、鉄骨の色味が明るくなりました。ピアノ本体に戻した時には見た目の印象がぐっと良くなると思います。

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鉄骨に付いているアグラフという部品もピカピカに磨きました。普段は鉄骨に付いていて、アグラフの穴に弦が通ります

磨き前のアグラフ
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作業がやりやすいように鉄骨からアグラフを一度外しました。どれも真っ黒でサビがひどかったのですが、根気よく磨いていきました。ビフォーアフターがはっきりわかるぐらいの変わりようです。

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すべて磨き終わりました
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また、駒に植わっている駒ピンを磨きました。こちらもかなりのサビ具合、そして磨くピンの数は相当ありましたがコツコツ磨きを進めていきました。

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見た目がつるっとキレイになり、触り心地もザラザラしていないように仕上げました。

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磨き作業はやはり磨いた部品がピカピカになるのが嬉しく、部品が元気に復活するように思います。これからホルーゲルの修理、どんどん進んでいきます!

レスター ハンマー交換

お盆が明けて、今日から工房はまたフル稼働です。今朝は初秋を感じさせるような雰囲気でしたが、風がとても強く吹き荒れています。穏やかな陽気になってほしいですね。

工房では、レスター、モデルNo.200のハンマー交換作業をしました。

たくさん弾かれていたのがよくわかるハンマーの状態でした。ハンマーさん、お疲れ様でした。
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作業はまず、元々のハンマーとシャンク(ハンマーに付いている木の棒)をハンマーバットという部品から抜きました。

基準となるハンマーだけを残します。ハンマーが無いとなんだか滑稽です。
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こちらは新しいハンマーシャンクの選定。金属板にシャンクを落として音を聞き、音の高さごとにグループをつくります。低い音のグループは低音に使い、高い音のグループは高音に使います。
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下の写真は下刺し(第一整音)といって、ハンマーフェルトに針を刺して音色の土台を作っています。ハンマーのメーカーによって針を刺したときの硬さが異なるのですが、その違いを楽しむのも面白さのひとつです。因みに今回のハンマーはドイツのレンナー社のものです。
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下刺しの次はファイリング(ハンマー整形)をしてハンマーフェルトの形を整えます。手作業で1本ずつ形を整えていきました。

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そしてハンマーの接着に入っていきます。こちらはハンマーとシャンクの接着。

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接着剤はニカワを使い、1本1本着実に接着していきます。

その後は場所をピアノ本体での作業です。ハンマーとシャンクの接着が完全に乾いたら、ハンマーバットにハンマーを着けていきますが、まずはハンマーの高さなどを調整します。

何度も定規をハンマーに当てて高さを微調整して揃えます。後々の音色に関わる大事な作業です。
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準備が完了したら接着に入ります。変に接着していないか確認しながら、ハンマーとシャンクの接着時同様、集中して行います。

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全てのハンマー交換が終了しました!
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真新しいハンマーに交換する作業ですが、この作業には下準備や様々な工程があります。接着後のハンマーで音が出た時はとても嬉しいです。今度はこのハンマーでたくさん弾いていただきたいと思います。

レスター 象牙鍵盤の漂白

暦の上では立秋になりましたが、まだまだ暑さは和らぎそうにないですね。甲子園も開幕して、こちらは『熱い』試合が連日繰り広げられています。球児の皆さん頑張ってください!

工房では、レスター、モデルNo.200の修理が進んでいます。
先日は象牙鍵盤(白鍵)の漂白を行いました。
このレスターの白鍵は象牙で、指なじみが良く弾きやすい材質なのですが、経年変化や汗などで段々と黄ばみが出てきます。特に中音~高音にかけては、よく弾くところなのでだいぶ黄ばみが目立っていました。

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現在象牙は手に入らず、新しい象牙と交換することが出来ません。今回は象牙を漂白して、黄ばみを出来る限り落とし、柔らかい白さが出てくるようにしたいと思います。

象牙の漂白はお天気が良くて日ざしが出ている時間帯がチャンスです。漂白をした日は、ジリジリと真夏の太陽が照りつける絶好のお天気でした。日ざしが良く当たるところに象牙鍵盤をセットして象牙の上に障子紙を置き、その上から過酸化水素水(オキシドール)をたっぷり塗って日ざしに当てます。

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この作業を数回繰り返し行います。あまりやり過ぎると、象牙を侵してしまう恐れがあるので、様子を見ながら進めていきました。障子紙を剥がすと紙に黄色が付着していて、徐々に黄ばみが薄くなっていくのが分かります。

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数回漂白を行い、黄ばみがかなり取れ、見た目が大きく変わりました。

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象牙鍵盤はどこか暖かみを感じます。象牙表面を布で拭いてこの日の作業は終わり、後日バフをかけてツルツルピカピカに仕上げます。お天気にも恵まれ、充実した作業が出来ました!