Q.どのような経緯で当社に調律を依頼されましたか?
A.知り合いの先生からの紹介です。当時の調律さんは、ただヘルツを揃えるだけの調律という印象で、また何か会話をしても答えが返ってこないことが多く、「このまま任せてても大丈夫なのだろうか」という思いがずっとありました。それで知り合いのピアノの先生からさいたまピアノ工房を紹介して頂きました。知り合いの先生から「さいたまピアノ工房はピアノのお医者様だよ」と聞いていたので、是非お願いしてみようと思いました。
Q.ピアノの事でどのような困りごとを抱えていましたか?
A学生の頃はよく高音の弦を切ってしまっていた。その都度調律師さんに張替えをお願いしていたのですが、張替えや調律以外のメンテナンスがどうなっているんだろう、という不安な思いを持っていました。あまりピアノの調子が良くないような気がしていました。
Q.ピアノとの出会いは?
A.4つ上の姉がおりまして、子供のころ姉がヤマハのグループレッスンに通っていました。私は母に連れられ姉のレッスンに連れていかれたのですが、どうやら私は音楽に合わせてお尻を振って踊っていたらしいんですね。姉はどちらかというと淡々とこなす、というタイプだったのですが、私が嬉しそうに踊っているのを見て、母は私に音楽をやらせてみよう、と思ったようです。
私は小さなころか、音楽の道に進むとかピアニストになるんだ、という揺るぎない夢や目標があり、ずっとそれは変わったことがないんです。
Q.今はどんな曲を演奏されますか?
A.今はソロでやるよりも、みんなで1つのモノを作り上げる、ということに魅力を感じています。今はほぼアンサンブルで演奏していますね。特にドイツの作曲家が好きで、3B(バッハ、ベートーベン、ブラームス)を弾けていればもう幸せです。
Q.ピアノ以外の楽しみは?
A.いま島村楽器で週2~3回販売員をやってるんです。その環境がとても新鮮で、例えばドラムやギターなどに詳しいスタッフがいたり、ライトミュージックなど私が知らない世界の音楽を色々教えてもらったりしています。
ピアノを見に来られているご家族の中には、「子供がいつまで続くか分からないから、一番安い電子ピアノをください」と仰る方が本当に多いのですが、これから楽しい音楽の世界の入り口に立っている子に向かって、なんてこと言うんだろう、という思いがあります。
その時私は、ピアノのソロを聞かせてあげるだけでなく、ドラムと一緒に演奏を聞かせてあげたりしています。今この子はこんな楽しい世界の入り口に立っているのだから、「いつまで続くか分からないから」なんて悲しいことを言わないで欲しい、ということを伝えたい思いもあります。
そのような演奏を聴かせると、「ピアノとドラムでこんなことが出来るんだ」とご両親はビックリしますね。ピアノソロが弾けるようになるとこういう可能性が広がるんですよ、ということをしっかり教えてあげたい。ピアノが弾けると10年後20年後、ソロだけじゃなくて色んな楽しみ方が出来る、ということを体現しています。
ドラムとピアノは発音の仕方が似ているので相性が良いですね。
Q当社に依頼して良かったことや、接した時の素直な感想を教えてください。
A.信頼をおいて全部任せられる調律師さんです。音楽の話や、楽器の深い話ができるのがとても楽しみで、調律に来ていただくのがとても楽しみです。ピアノが良くなるということはもちろんですけれど、音楽に関する様々なお話がし合えるので楽しいです。共感し合えるという感じがしています。
Q.オーバーホール後に、ピアノに対する考え方や接し方が変わったことはありますか?
A.バイオリンなどのように、楽器のボディや中が鳴っている、という感覚を持つようになりました。響板の響り、低音の倍音、ダンパーの動きなど、今まで知らなかったことに気が付けました。ピアノがどう鳴るのか、ということに目を向けることが出来るようになれたことが嬉しいです。
鍵盤だけで演奏を考えている人と、ピアノ本体を考えて演奏している人と、音がこんなに違うんだ、ということを感じるようになりました。室内楽だとマスタークラスで色んな方々の演奏を聴けるので、違いがよく分かります。
若い頃弦をよく切っていましたが、やっぱりそういう弾き方は良くなかったなと今は思います。
オーバーホールして頂いた後は、ピアノが体の一部という感覚があります。こういう音が欲しい、と思えばピアノが応えてくれる、ということを感じるようになりました。これからもずっと音を探究していきたいと思っています。