今回は、HORUGELの修理をについてかきます。
1月のブログ以降もHORUGELの修理は進めていました。
響板修理をする前に
外した響板を確認しました。板同士の接着が利かなくなり、響棒や駒とのねじ止めなどで、かろうじて一枚の板の体裁を保っていました。
響板とその周辺をどのように修理すべきが考えました。剥がれた板同士を再接着し使うか、響板を新しくするか。響棒はそのまま使うか新しく作り直すか。駒もそのまま使うか作り直すか。リムはどうするか。
それぞれの材質を3人で確認相談し、響板は新しい部品に、響棒はオリジナルで、駒は一部交換、リムも一部交換することにしました。因みに除響板はオリジナルの材料を使うことにしました。
響板の製作で
響板と響棒の接着も工房ですることにしました。響板がどうあるべきかの理論は文献や資料、実際の作業はメーカーなどで見たことがありますが、先輩技術者などから借りた参考資料や、製作時の経験談なども参考にします。ただ工房には設備がないので、これを機会にそれも作ることにしました。
写真はつい最近届いたJahnの響板(梱包されている)と、オリジナルの響板と駒
響板の仮設置と確認
外したパーツを元の場所に戻してみました。
それぞれの支柱が水平で無くなっているので、支柱をまたいで置くリムやピン板は、ピタッと支柱の上に乗らず、カタカタしてしまいました。また、リムのブナ材も狂いが激しく、真っすぐでなくなっています。狂った木材の上に、狂った木材を接着剤でピタッと強引に付けたとしても、今後不安が残るので、支柱は狂った分を補正し、リムの一部は新しく作り直すことにしました。
写真 曲がったリム 下の青い定規が真っすぐなのに対し、かなり曲がっている。
除響板の再塗装
除響板を取り外すときには、接着が剥がれ、板と板がバラバラでした。接着しなおし、表面にペーパーをかけて、響板と同じように、下塗りを2回行いました。上塗りは後日します。
駒を響板から外す
響板裏のサンディングボタンを外し、アルコールを響板と駒の隙間に流していきます。接着が弱い為、簡単に取れました。
長駒/短駒
短駒の台座も接着剤が弱く、板と板の間に隙間が空いていました。外すとバラバラの状態です。この部分は作り変えることになり、現在製作途中です。
駒ピン交換(ピン抜き取り)
短駒、長駒どちらもピンの部分だけ交換することになりました。駒が割れているわけではないので、駒の交換はしません。
真鍮製の駒ピンは、ネジザウルスというペンチのような工具と手の力で簡単に抜けてしまいました。響板を新しくすること、駒圧なども考慮し、僅かに太い鉄ピンに交換する事にしました。このピンの素材によって音色が多少変わります。
支柱の補修
製造から約70年経過し、木材の質が悪くて狂いが大きく、接着剤も弱い為、支柱の接続が不十分でした。外して付け直したい所ですが、そうは行きません。全ての部品は支柱を基準に付いています。そのため支柱を組みなおすと、寸法が変わり、塗装し直した側板や棚板などの関係も変わってしまい、元に戻らなくなる可能性がある為です。
また、所々に木の節や、大きな虫食いの穴もあり、木材を埋めたり、パテをもったり、低粘度エポキシ樹脂を流したりして補修しました。
木材の狂い、弦の張力の影響で、支柱が沿っています。リムはその支柱をまたいで接着しないとならないので、支柱の接着面側は均一で平らでないとなりません。今週は平らになるように、削ったり木材で厚みを足したりしています。
今後もHORUGELの修理を進めていきます。
by 孝則 / 真帆
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