KAWAI BL12 出庫 

工房では、KAWAI BL12の修理、整調が終わりました。

このピアノのお客様が、ピアノの仕上がりの確認に工房にいらっしゃいました。
傷が少なく、外装全体の汚れが目立っていた状態だったので、見違えるように綺麗になったピアノを見て、とても喜んでいただきました。

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ピアノが工房から出庫してから、納品調律に伺いました。
素敵な防音室にピアノが置いてありました。
音を出してみると、防音室の独特な無音状態の中で、ピアノの音だけが聞こえるので、残響が少し目立っていました。
同時に、このピアノはとても鳴りがいいピアノということをより感じました。
今回は残響を抑えるために、止音リボンを低音部につけて、多少収まりました。
綺麗になったピアノで、新しい環境で、ピアノを永く楽しんでいただきたいです。

by真帆

HORUGEL アクション修理2

工房では、HORUGELの修理を進めています。

サビが深くついていたので、ブラケット、ダンパーロットはメッキ屋さんにお願いして、メッキ加工してもらいました。

before
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after
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アクションは、センターレール、ブラケット、ダンパーロット、レギュレチングレール、ウィペン、ダンパー、ハンマーそれぞれ修理、加工を終えて、これから組み立てていきます。

レギュレチングレールは、高音部を作り直したので、小ジャックの位置とレギュレチングボタンの位置が合うか心配でしたが、問題ありませんでした。

ダンパーフェルト接着

低音部のダンパーは張弦後に弦と合わせて接着が必要ですが、中音から次高音のダンパーフェルトは接着の際に弦と合わせる必要がないため、先に行うことにしました。

オリジナルのダンパーフェルト

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フェルトを外した状態
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ライニングフェルト接着
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ダンパーフェルト接着
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アクションは、本体と合わせて修理が必要なハンマー交換、ダンパー交換(低音部)以外の修理は完了し、組み立てが終わり、長い間バラバラになっていたアクションが集合して、いつも見慣れているアクションの形に戻ってきました。

by真帆

HORUGEL アクション修理

工房では、HORUGELのアクション修理を行いました。

今回はバット関連の部品(ブライドルテープチップ、バットスキン、バットフェルト、キャッチャースキン)の交換をしました。

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スキンは部品同士の摩擦で薄くなっていました。バットスキンは、部品と擦れたところで薄くなり、アンダークロス(白)とアンダーフェルト(赤)の境目を指で触ると、段差がありました。鍵盤を弾いたときに、この段差がガックンと指に伝わってきます。
バットの部品同士が当たる部分のフェルト、クロスは劣化が進み消耗していたので、全て交換することになりました。
ブライドルテープは切れておらず丈夫だったので、割れているチップのみ交換します。

ブライドルテープチップ交換前・キャッチャースキン交換前

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キャッチャースキンを剥がしている途中

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バックチャックスキン、バットスキン接着途中
スキンを触って、毛並みの向きを揃えて接着しました。接着部分がカーブしているので、付け根の部分を先に着してから全体を接着しました。

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キャッチャースキン、バットスキン 接着、加工後

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左側 交換後 右側 交換前 

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バット関連の部品交換が完了し、見た目、機能ともに復活しました。これから、バラバラになっているアクションを組み立てていきます。

by真帆

KAWAI BL12 バランスピン交換 / マフラーフェルト交換

工房では、KAWAI BL12のバランスピン交換、マフラーフェルト交換を行いました。

バランスピン交換

鍵盤を筬から外していくときに、バランスピンからなかなか抜けない鍵盤がいくつかあり、慎重に外していきました。かなりサビているため、試しに一番サビているバランスピンを磨いてみました。サビつきが頑固で、サビを削り落としていくと、綺麗にはなりましたが、ピンがその分細くなってしまいました。鍵盤を入れて確認してみると、鍵盤のバランスホール(バランスピンが入る穴)とピンの間に遊びができてしまい、鍵盤が前後にガタガタと動いていたので、バランスピンは全て交換することにしました。

(before)

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(バランスピン抜き中)
この作業は、かなり力仕事でした。腰が痛くならないように、休みながら行いました。
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(after)

オリジナルは真鍮ピンでしたが、メッキピンの方がサビにくいため、メッキピンに交換しました。
下の写真の残っている真鍮ピンは、新しいピンを打ち込む高さの基準として残しています。新しいピンの打ち込みが終わってから、残していた真鍮ピンも交換しました。

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フロントピンは、バランスピンほどサビていなかったので、磨きました。こちらの写真は撮り忘れてしまいました。

マフラーフェルト交換

マフラーフェルトは、弱音ペダル(左側のペダル)を踏むと弦とハンマーの間に、下の写真のフェルトが付いたバーが下りて、音を弱くしてくれます。
このフェルトは、ハンマーで何度も同じところを叩いているので、薄くなり、弱音にならなくなってきます。下の写真でいうと、真ん中のフェルトは中音部分ですが、一番消耗が激しいです。このピアノは、本体の外装、内部すべての掃除を行ったので、フェルトも新しい綺麗なものに交換します。

(before)

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(after)

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このピアノの修理はこれで完了です。次は仕上げに入っていきます。
by真帆

KAWAI BL12 ペダル磨き / 外装磨き

工房では、KAWAI BL12のペダル磨きと外装磨きを行いました。

ペダル磨き

塗装の下からサビが出てきていました。
ペーパーをかけて、塗装とサビを落としていきます。
ペーパーは600番から1500番の順にかけて、表面を整えて、仕上げにコンパウンドで磨きました。

(before)

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(after)

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外装を磨き

ピアノの外装は、傷が少なく、汚れを取ってしっかり磨くと綺麗になり、艶がよみがえりました。

(before)

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(after)

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(本体磨き)
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外装磨き完了

外装磨きは磨く面積が多いので、金属磨きなども含めると2日くらいかかりました。磨いた後の拭き残しや、磨き残しがないように確認し、外装磨きは完了です。
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by真帆