ベルトーン 外装磨き

今日は桜が一気に開花しそうな、気持ちの良い晴天です。いよいよ春本番ですね。

工房では、ベルトーン、モデルNO50の外装磨きをしました。

工房にピアノが来た時から、塗装に原因があるかと思うほど、外装全体がくもっていて、触った感触もざらっとしていました。
試しに一部分だけ汚れを落としてみると、くもりのないハッキリとした塗面が現れました。

そこで、まず汚れを徹底的に落とすことから始めました。すぐに真っ黒になる布を何度もすすぎながら、しっかり汚れをふき取っていきます。

(鍵盤フタの汚れ落とし)
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そしてバフで磨き上げていきました。
磨きムラがないように仕上がりを確認しながら進めていきます。ボヤっとしていた塗面が、段々と艶やかで光沢感のある塗面に変わっていきました。

(本体側面のバフ磨き)
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また、金属部分も磨きました。金属部分の方はひどくサビてしまっていて、本来の輝きを失っていました。

(ロゴ サビついて文字も見えにくい)
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根気よく手磨きで磨いていきました。外装の塗面と同じく、サビついていたものが磨くごとに段々とキレイになっていくのが分かります。

(ロゴ 途中経過)
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(ロゴ 磨き完了!)
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(蝶番の汚れ 真ちゅうとは思えない程、茶色くなっていました)
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(サビが落ちてキレイになりました)
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外装磨きの作業は体力がいりますが、磨いたものがキレイになっているのはとても嬉しいです。外装全体の仕上がりは、修復が完成した時に改めてご紹介します。
ベルトーン、次はアクション調整です。

by志乃

ベヒシュタイン 鍵盤修理

今週は、ぐんと気温が上がりました。思わず「暑い!」と言うぐらいの、初夏を思わせる気持ちの良い陽気でした。

工房では、ベヒシュタイン、モデルKの修理が進んでいます。

鍵盤修理では、鍵盤の象牙貼り直し修理を行いました。このベヒシュタインの白鍵は象牙を使っています。
中音域を中心に、象牙が剥がれてきているものがありました。

(この写真では、真ん中と左の白鍵が反っているように見える 写真は少しわかりづらいかもしれません・・)
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お客様は演奏時のタッチに違和感を感じていて、貼り直しを希望されていました。見て剥がれを確認できるので、おそらく見た目も気になっていたと思います。象牙と木部を接着剤で貼り合わせていますが、年数経過と弾かれていることで段々と剥がれてくるケースがあります。

(鍵盤型の木の台に象牙が貼られている)
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剥がれ方にもそれぞれあり、指で簡単にポロッと取れてしまいそうなものから、一部だけ剥がれかけているものまで様々ありでした。修理では象牙パーツを完全に剥がし、貼り合わせる象牙の面と木部の面がピタッと合うように加工してから接着をします。剥がしてすぐ接着するのではなく、1本ずつ象牙の曲がり具合の修正や、合わせる面と面の加工などを微調整していくので難しい作業です。色んな剥がれ方をしていた象牙が徐々に揃っていきます。

慎重に接着した後、象牙部分をバフで磨いて艶を出しました。

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バフをかけるごとに艶が出てくる様は作業していて面白いです。

また黒鍵の磨き、鍵盤のブッシングクロス交換、キャプスタンボタンの真ちゅう磨きを行いました。

(写真はキャプスタンボタン 左・磨き前 写真右・磨き後)
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黒鍵は汚れを落としキレイになり、象牙の白鍵ともに見た目が明るくなりました。

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お客様が鍵盤を気にすることなく演奏できるようになったと思います。今後もひとつひとつ丁寧に修理を進めていきます。

by志乃

YAMAHA U1 入庫

今週は寒暖差が激しく、お天気も不安定な日が続きました。
春の季節特有の強風もありますが、ようやく冬も終わりの頃かなと実感します。

工房では、YAMAHA、モデルU1を入庫しました。

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昭和44年製造、今から約50年近く前につくられました。ヤマハのアップライトピアノでは、人気のモデルです。

持ち主のお客様は、このピアノをずっと弾かれていて、とても大事にされています。ただいま修復中のベルトーンのお客様とお知り合いで修復のご紹介を頂きました。
年数が経ったピアノを不具合なく、これからもこのピアノで演奏を楽しみたいという思いで修復を決められました。

愛着のあるピアノを少しの期間お預かりしますが、再びお客様の元へピアノが戻る時は今よりピアノが元気になって、お客様が楽しんで弾いていただけるように、精一杯頑張りたいと思います。

ベルトーン ハンマー交換

3月に入りました。最近は「春らしくなってきたね!」という会話が聞こえてくるようになりました。
今週は暖かい日もあり、だいぶ過ごしやすいです。

工房ではベルトーン、モデルNO50のハンマー交換を行いました。

入庫前のピアノ診断でお客様宅に伺って修理に関して話し合ったところ、ピアノ本体を工房に運んで弦交換のような大きな修理をするので、せっかくならこの機会にハンマーも新しくしましょうとなりました。今回は、ドイツ、レンナー製を使います。

真新しいハンマーは、ハンマー整形(ハンマーファイリング)をして形を整えます。

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ハンマーに接着するハンマーシャンクは、低音・中音・高音用に仕分けしておきます。

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仕分けの方法は、金属の板にハンマーシャンクを落として、カランッという音を聞いて分けます。

新しいハンマーとハンマーシャンクをニカワで接着します。DSC_1690

ここからはピアノの中で作業を行います。
ハンマーシャンクとハンマーバットを接着する前の下準備として、シャンクの長さをノコギリやヤスリを使って微調整し、ハンマーバットに入れ、ハンマーの高さを均一にしていきます。
写真がハンマーバットです。シャンクを入れる穴が開かれています。
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この高さ調整で、ハンマーが弦をたたく位置(打弦点)が決まります。丁寧に一本ずつ根気強く進めていきます。
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調整が終わり、いよいよハンマーシャンクとハンマーバットを接着します。ニカワの都合上、ゆっくり作業はできません。ここからはリズム良く、かつハンマーの向きに気を付けながら、接着していきます。

1本づつ順番に接着。

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低音、中音セクションまで接着。
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その後、高音まで終わり、ハンマー交換が終了しました。
ハンマー交換は、様々な工程を経て最後の接着まであります。ハンマー、ハンマーシャンクと最初は単体の部品から、一からつくり上げていくのでやりがいがあります。

ハンマー交換が終わってからさっそく音を出してみると、力強い音色がしました!まだまだやる事はありますが、少しホッとした瞬間でした。次はアクション調整に入ります。

ベヒシュタイン 入庫

2月も残りわずかになりました。今年も庭の梅が咲き始めました。季節は着々と春に向かっているんですね。

工房ではピアノの修理が順調に進んでいます。
先日はベヒシュタイン、モデルKを入庫しました。1930年製造のグランドピアノです。
仲間の調律師さんのお客様のピアノです。

ピアノはいつもお世話になっているピアノ運送業者さんが運んでくれました。
布団や毛布などで厳重に梱包されたピアノ。

DSC_1650運ぶ時は脚を外してあります。

手早く組み立ててもらい、ピアノがお目見えしました。DSC_1651

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さっそく弾いて状態を確認しました。
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小型のグランドピアノですが、大きさ以上の力強さを感じました。90年近く経っていますが、まだまだ現役です。ただ、たくさん弾かれていたので部品の修理が必要な個所もあります。
今回はさいたまピアノ工房で、アクション修理と鍵盤修理を中心に行います。

いつも新たなピアノを修理する前はなんだかワクワクします。修理をしてさらに弾いて楽しいピアノを目指してやっていきます。

次回は作業が終了したベルトーンのハンマー交換についてお知らせします。

by志乃