津波ピアノ修復、クラビアハウスさん

津波ピアノの修復。

どのように作業を進めて行くか4年半の間、頭の中で思考錯誤を繰り返してました。
修復の前例が少なく、また海水の影響がどのようにで出てくるのか、予測がつきません。

技術的にどのようにするのがいいのかを、一度津波にかぶってしまったピアノを修復したことのある、経験ある技術者さんに聞いてみることにしました。

長期的に使えることを考えて、修理されている。またそのピアノを継続的に見ていらっしゃる方を探していた所、クラビアハウスさんのホームページと出会いました。

http://www.klavierhaus.co.jp/sitigahama/sitigahama.html

思い切ってメールをしてみたところ、見ず知らずの技術者からの突然のメールだったのにも関わらず、クラビアハウスの松木さんに工房に来ていただきました。

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実際にあるにピアノがある方がいい…とのことで、遠くから駆けつけていだきました。ありがとうございました。

どのように海水に浸かってしまったのか、修復後の変化など、包み隠さず、お話いだきました。
技術的なこともそうですが、一台一台気持ちを入れて対応されていて、その技術者としての姿勢に勝手ながら共感、また尊敬しました。
淡々とお話をされていましたが、お客様への配慮、修理したピアノへの情熱など、勉強になりました。

お話をすることにより、より釜石のピアノの修復の方向性がはっきり見えてきた気がしました。

次回はクラビアハウスさんの工房にお伺いしたいと思います。本当にありがとうございます。

釜石 津波ピアノ、鉄骨ネジ

新生釜石教会の修理の続きです。

解体作業から。

4年前の震災後に一度現地で解体し、錆びて解体がしにくくなってしまわないように、ネジに油を塗布しておきました。

今年、2度目に現地に伺った時に、ネジを閉め直しておきました。釜石から埼玉からまでの運送中に重たい鉄骨が外れてしまわない為です。安全性を考えました。

さっそく工房で、鉄骨ネジを外そうとした所、3分の1が折れてしましました。

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他のメーカーに比べ、少し細い鉄骨ネジだったというのもあります。

他のメーカーでも錆びて取れなくなることは良くあることですが、ここまではありません。

また折れていないネジも、回す時に折れそうになったりしました。

心は折れないように、引続き作業していきます。

Eastein B型 弦を張ってます。

Eastein B型の修理の続きです。
本体の作業も後半戦。

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力が入ります。

中音域の弦の張り方に特徴がありました。ループ弦と1本がけのセットになってました。弦の張り方はメーカーによって様々ですが、あまり見かけないタイプでした。

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他にもチューニングピンが埋まっている板(ピン板)に真鍮板のプレートのカバーがあったり、色々な工夫がされてます。

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早く音が聞けるのが楽しみです。

Eastein B 響板修理。

Eastein モデルB 型のオーバーホール作業です。1966年製造。しっかりとした造りです。
10月になって、湿度も下がってきたので、響板修理をしました。

まずは古いニスを剥がします。ニスの下は白く、比較的状態でした。

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しかし響板が割れていた箇所は数ヶ所あり、そのままでは問題です。割れ目を加工し、新しい木を入れます。

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今回は低音駒の下の響板も割れていたので、一度低音駒を外して修理です。
良くも悪くも、しっかり接着されていました。

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修理を終え、叩いてみたら張りのある音になってました。その音がどれだけピアノの音に反映するのか、楽しみです。

新生釜石教会、津波を受けたピアノ

10月上旬、釜石市にあったピアノがようやく工房に届いた。
新生釜石教会の津波被害にあったピアノだ。

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写真では見えないが、海と錆の混じった匂いがする。外装にヒビも入ってきており、海に漬かると被害は大きい。

2011年春に釜石へ行き、一度解体、掃除をした。
現地ではボランティアの皆さんや釜石の調律師の高橋陽子さんにも手伝っていただき、電気や水道が自由に使えない状態の中、作業をした。

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その時のブログはこちら↓

http://plaza.rakuten.co.jp/19790801/diary/201105300000/

http://plaza.rakuten.co.jp/19790801/diary/201105310000/

弦をはずし、掃除をして、錆びる可能性がある所は錆びか進まないように、油分を塗っておいた。
精一杯作業をしたが、時間内にできたのはここまで。

4年ぶりの今年の6月に釜石へ行き、ピアノの再確認。
牧師の柳谷さんと初対面。陽子ちゃんも遠くから駆けつけてくれた。

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その時のブログはこちら↓
http://saitama-piano.main.jp/?p=529

9月下旬、牧師の柳谷さんにさいたまの工房に来ていただいた。
まだピアノが到着してなかったので、工房だけ見て、お話をした。
ピアノの出来上がりを楽しみにしていらっしゃった。
お話しできて元気を充電。(気合いも入った!!)
震災から四年半以上経ったが、ピアノの修復はこれから。

工房に来たピアノ、これからどのようになるのか、作業を慎重にすすめていこうと思う。

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