工房では、今年の1月から修復をしていたYAMAHA No,U1Aが先日出庫しました。
修復前は、アクションの状態が悪く、音が出ないところや、鍵盤を打鍵すると戻らないところなど、弾ける状態ではありませんでした。
修復始めのブログはこちら→YAMAHA No,U1A 解体作業
これらの問題は、すべてこれまでの修復で解決しました。しかし、それだけでは弾けるようにはなりません。古くなり、摩耗や劣化が進み使い続けることができない部品はすべて交換したため、修復前とは本体、アクションの状態は変わっています。なので、ピアノを弾きやすい状態にするために、タッチを一から作り直す必要があります。
このピアノに合ったタッチの寸法を探り、それを基準にアクションの整調を行っていきます。
作業写真の紹介
ウィペン間隔直し
ハンマーのバットにウィペンのジャックを合わせながら、ウィペンの間隔を揃えています。
鍵盤あがき
あがき定規で鍵盤を押して、パンチングペーパーで深さを揃えます。
ダンパー総上げ
ペダルを踏みながら、ダンパーが全て同じタイミングで動くようにワイヤーを曲げて合わせています。
整調は約25工程あり、繰り返し行うことで、タッチを仕上げていきます。鍵盤を弾いたときにパシッと指に返ってくる弾きごたえのあるタッチに揃いました。
修復前の音の粒はボタっとした大きく広がった音でしたが、響板修理をして、新しい弦を張り、新しいハンマーに交換したことで、音の1音1音が粒立ち、キラキラとした明るい音色で、フレッシュな音に生まれ変わりました。
大々的な修復をしたピアノは、新しい弦やハンマーが馴染むまで少し時間がかかりますが、その小さな変化を感じられるのが、修復後のピアノの楽しみでもあると思います。
by真帆
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