KAWAI KU2 お客様宅納入後の調律

秋の気配が日を追うごとにはっきり感じられるようになりました。
気付くと、セミの大合唱から秋の虫たちのコーラスに変わっています。

先日は修理を終えたKAWAI、アップライト、モデル KU2の納入後の調律に伺いました。
ピアノはリニューアルされたお部屋にピッタリ収まり、椅子も可愛らしくアレンジされていました。

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このピアノは製造されてから50年近く経過していて、元々はご依頼主のお姉さんが弾いていました。
工房に運ばれた時は、鍵盤が剥がれていたり、外装も年月による劣化がありましたが、音を聞くと暖かみがあり期待が持てるピアノでした。

修理をしてピアノ全体が蘇り、弾いていて楽しいピアノに仕上がったと思います。
大がかりな修理でしたので、お客様もどのように変わるのかと思われていたでしょうが、とても喜んでいただいて嬉しく思います。

これからも素敵な音色を響かせてくれることでしょう。

by志乃

東海ピアノ 張弦からアクション修理へ

朝晩だいぶ涼しくなりました。
気候の変化が大きく、風邪をひかないようにお気をつけください。

工房では東海ピアノ、モデル、ワルトシュタインの修理です。
弦の張り替え作業も順調に進み、本体を起こします。
その際、本体の底の板(底板)の取り付けを行いました。
元のネジはすべてサビていて取り外しも一苦労でした。新しいネジに変えて、ネジ穴もドリルで新たに開けなおしました。
穴が真っすぐに開くようにドリルで開けていきます。

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位置がズレないように慎重に行います。

またペダルも磨き、無事ピアノを起こすことができました。

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本体修理がひと段落して、次はアクション修理に入ります。
まずはセンターピン交換です。人間でいうと関節部分にあたります。とても大事な部分です。

修理前の試し弾きの時、鍵盤を押しても音が出にくい箇所がいくつもありました。
センターピンの部分が硬くなっていることが原因でした。
ひどくなると、鍵盤を押していないのにハンマーの動きが途中で止まっていることもあります。
(センターピンはハンマー以外の部品にも使われています)

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こうなると鍵盤を押しても音が出ないという現象が起きます。

アクションをばらして一本一本センターピンを交換していきます。

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作業、順調に進んでいます。

by志乃

大橋ピアノ 外装修理終了。

今日から9月に入りました。
暑さも少し収まり、風が爽やかで心地よいです。

工房では、外装修理を終えた大橋ピアノが浜松から帰ってきました。
大橋ピアノ、アップライト、モデルNO.132は今年の1月から修理を開始しました。
このピアノは長い年月により、外装の塗装が傷んでいたことや外装の一部の板が剥がれていたこともあり、浜松のピアノ技研さんに外装修理をお願いしていました。
ピアノ技研さんについては改めてご紹介したいと思います。

戻ってきたピアノは、再塗装されたと一部の外装木材の交換をしたのですが、若返ったかのように艶が蘇りました。

(修理前)

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(修理後)

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(写真は反射してしまい、少し分かりにくいかもしれません・・)

修理前は少し緑がかった発色をしていましたが、それはどうやら赤みが抜けてしまっていて起きていた事だったそうです。
修理前と修理後のあまりの変身ぶりに工房スタッフ全員がうれしい驚きでした。

外装修理も終了して大橋ピアノの修理も後半に入ります。

by志乃

東海ピアノ 弦の交換開始

8月も残り数日となりました。
今週は暑さも厳しくなり、残暑が長くなりそうですね。

工房では東海ピアノ、モデル、ワルトシュタインの弦交換に入りました。

弦交換前の本体掃除では汚れをしっかり落としてピカピカに。
弦が無い状態なので掃除しやすいです。

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掃除や部品の磨きなども終わり、1本1本手作業で弦を張っていきます。

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低音の巻線は長さが長いこともあり、補助役と二人で行う事も多いです。

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1台分張ると、けっこうな体力を消耗します。

真新しい弦、チューニングピンは見た目も気持ちがいいです。
(写真は張りたての弦)

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まだ音になっていない段階ですが、これから張力を上げていきます。
どんな音になるか楽しみですね。

by志乃

栗橋文化会館定期メンテナンス

工房はお盆休みも終わり、引き続きピアノ作業がスタートしました。
甲子園では球児の皆さんが元気に熱戦を繰り広げていますが、負けないぐらいのパワーでやっていきたいと思います。

工房では先日栗橋文化会館のスタインウェイD型の定期メンテナンスに行ってきました。
昨年大変ご好評だったこともあり、昨年に引き続き今年もご依頼していただきました。
前回の作業の様子はこちら→スタインウェイDの定期メンテナンス

今回は、前回の結果を踏まえて重点的に行うべき作業を確認して進めていきました。

まずは前回同様、調律・調整の前段階の土台を整える作業から始めます。
鍵盤にささっている金属ピン、鍵盤の奥についているキャプスタンボタンという金属部品を磨きます。

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(写真左から4つは磨き後。右から3つは磨き前)
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弾いたときのタッチや質感に関わる作業ですので、一つ一つ丁寧に磨き上げるという感じで進めていきました。

また、今回は本体内部の清掃を行いました。コンプレッサーも使いホコリやゴミを掻き出します。

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かなりのホコリが出てきて、全身ホコリだらけになるほどでした。定期メンテナンスのタイミングでないと中々出来ないことです。
これで当分は本体もキレイな状態を保つことができると思います。

掃除や部品の磨きは工房での修理の際は行う作業ですが、ホールのピアノも同じように錆びていたりホコリで汚れていました。

そして整調作業に入りハンマーの調整を始め、端から端までくまなく確認して調整していきます。

(写真はハンマー調整。ハンマーが正しい進行方向に動くように調整)

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ピアノのアクションは複雑な仕組みで、すべて連動して動いています。整調はミリ単位の微調整でも弾いた感覚が大きく異なります。
88鍵分集中して行います。

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最後に調律・整音を行い丸二日間の全行程を無事終えました。
たくさん弾かれていたこともあり、凝り固まっていたようなピアノがメンテナンスをしたことで全体がほぐれて整ったと思います。

このホールでは演奏会の他に、一般の方もピアノに触れる企画など様々ありますが、今後も地元の方に親しまれ、愛されるピアノになってくれたら嬉しいです。