工房では、ペトロフ P115の仕上げの段階に入りました。修理が終わり、ピアノは部品が組まれた状態で、
音は出るようになりましたが、タッチはバラバラで、演奏もままならないレベルです。
そこからいいタッチを作るのが整調になります。全ての部品を最適な状態に揃えると、ピアノを気持ち良く演奏できるようになります。
ハンマーの間隔、走り、傾き
ハンマーの動きを、最適にする工程です。全てのハンマーを、弦に対して真っすぐ、正面を向いて、真ん中に当たるようにします。
ハンマー間隔、走り、傾きを直すと、ハンマーの当たり方が良くなり、打鍵してハンマーが弦を打った時の感覚がしっかり伝わってきます。
鍵盤ならし、あがき
鍵盤の高さ、深さを決め、揃えます。
第一整調では、まず鍵盤の水平の位置を確認し、鍵盤の高さを調整する紙がどれくらい入っているか、あがき(深さ)は紙が足りなくなって調整できなくならないか、どれくらいの高さまで許容できるかを確認します。
今回は、黒鍵の深さを調整するパンチングペーパーが無くて、これ以上深くできないところがありました。そこで、鍵盤の高さを1mm高くすることになりました。水平の具合も確認したところ、問題ありませんでした。しかし、鍵盤抑えが邪魔をして十分上げられませんでした。
そこで拍子木の高さをわずかに上げてみて、見た目も問題なく、鍵盤抑えの高さを高くしてみました。さらに外装を組んでみても問題ないかも確認したところ、無事に問題なく済みました。
第一整調
接近はとても広く、打鍵の勢いだけでハンマーが弦を打っている状態でしたが、基準通りに接近を狭めて弦に近づけることで音もより明瞭になりました。
ダンパーの総上げは、ペダルを踏んだ時に一斉にダンパーが上がるように調整します。遅い、早いバラバラになっていました。今回のペトロフのアクションは、レンナーアクションで、ダンパーワイヤーを曲げて調整するタイプではなく、ダンパーレバーのネジを出し入れして調整するタイプでした。
ダンパーのスプーンかかりは、ほんの少ししか押していないのにかかってしまっていたので、タッチが重く感じられる原因の一つになっていました。この整調後、がらりとタッチの印象が変わってきます。
一通り整調と調律を終え、エラーやスティックを確認し、演奏してみました。いい感じになってきました。この結果を踏まえ、第二整調で更にこのピアノの音やタッチの方向性を明確付いていきます。
by真帆
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