工房では、ホルーゲルの最終仕上げを行いました。
まずは、外装磨きをしました。

ホコリや汚れがある状態なので、雑巾で拭き取っていきます。
ここで、しっかりゴミ、ホコリを落とさないと、磨き傷がつく原因になります。
コンパウンドとバフを使って磨いていきます。

このピアノの塗装はラッカー塗装でした。
ラッカーは黒色が深く、ハッキリした黒に見えます。艶のある美しい黒に仕上がりました。
さて、金属部分も磨きました。

錆びてはいましたが、こちらも磨けば輝きを取り戻します。

全ての磨きが終わり、パーツの組み立てをして、ピアノを組んでみて、現状を確認しました。
外装に使われているフェルトは変色し、本体の保護や雑音防止に使われているゴムも劣化してボロボロでした。新しいものに交換し、綺麗になりました。
本体の最終的な仕上げを親方に確認してもらいながら進めて行きました。古いピアノなので、経年変化で歪んでいるところがたくさんありました。譜面台が前後にスライドしずらくなっていたり、鍵盤蓋も左右均等に開閉できなかったりしました。可能な限り補正していきました。
アクション修理後の調整は親方がしていました。本体同様、修理後に組み立てて調整してみると、木の歪みで鍵盤同士が後ろで擦れていたり、こちらもしていました。それらを全てクリアにした後、最終調整をしていました。
調整する前の音は、本体がよく鳴るピアノなので、音は大きく、良く広がる音でした。
調整した後は、広がる音が凝縮されて、まとまり、音色が濃くなりました。
ここまで違いを感じたのは初めてで、驚きました。良いピアノほど調律、整調、整音でピアノが変わるそうです。
ホルーゲルの出荷前の様子です。


(窓越しからの撮影のため、iPhoneが写り込んでしまいました)
7ヶ月という長期間に渡る修復でした。
工房に来た時は音は出るものの、なかなか演奏をするには大変なピアノでした。
そこから、演奏が可能になり、大きく包み込むような音はそのままに、深みが増しました。ここからまた、新たなスタートを切るのかとこのピアノのこれからに思いを馳せました。
「音楽準備室」というお店に搬入されました。
これから、色々な形で、たくさんの人に弾いて貰えると思うと嬉しいです。
尚、ピアノは出荷されましたが、全ての作業か終わったわけではありません。
特注で頼んである部品が、まだ出来上がっていないので、古い部品がまだついています。
部品が届き次第、新しいものに変えます。
また、後日お伝えします。
そして、隣に写っているアップライトピアノもホルーゲルです。こちらもなかなか良い音です。これから修理に入ります!

by真帆