ホルーゲル アクション修理①

本体の掃除も終わり、アクション修理に入りました。

まずはアクションの掃除からです。

掃除機で大まかにゴミを吸い取ってから、コンプレッサーで隙間に溜まったゴミを吹き出します。

その後、濡れ雑巾でレールや金色のブラケットの部分を拭いていきます。

ここは普段は掃除しないところなので、雑巾が真っ黒になりました。

さて、掃除が終わり、アクション修理に入ります。

ブライドルテープ交換

テープをかけているワイヤーから外す時に、赤い皮のチップとテープがちぎれてしまうほど劣化していたので、交換しました。

テープもチップも綺麗になりました。

ハンマー交換の準備

ハンマーはスティックが多かったので、フレンジ交換をしました。

ハンマーを交換する前に、この新しいフレンジでハンマーが正常に弦に向かってまっすぐ動くようにアクションに取り付けて、調整します。

その後、ハンマーをアクションから外し、ハンマーを外していきます。

この部分は、膠で接着されているので、熱を加えて外します。焦がさないように、ヒートガンの火力を弱めにして、外していきます。

綺麗に外れました。

来週もハンマー交換を進めていきます。

by真帆

ホルーゲル アップライト修復開始

工房では、先週まではGPのホルーゲルを修復していましたが、今週からは、UPのホルーゲルの修復に入りました。

木目のきれいな、緩やかな曲線が美しいデザインのピアノです。

修復に入る前に、ピアノの試弾をして、どのようなピアノか、ピアノがどういう状態かを把握します。

弾いてみると、包み込まれるような音の広がりと、深みのある音色を感じました。ただ鍵盤が軽快に動かず弾きにくく、つっかえてしまったり、音が出なかったりして、スムーズに演奏することは困難でした。

修復後に弾いてみるのが楽しみです。

さて、早速作業開始です。

まずは、ピアノの裏側の掃除から始めていきます。

響板以外の所は白く塗られていましたが、くろずんでいましたが、

汚れを拭き取ると、とてもきれいな白と木目が出てきました。見えない部分なのにお洒落ですね。

作業中、底を拭こうと手を入れたら、音が豊かに響くように、響板面積を広くとる工夫が打廻しにされていました。このピアノは、丁寧に作られたことを感じました。

続いて、ピアノを寝かせて内側の掃除です。

チューニングピンと弦、フレーム、響板を掃除していきます。

錆が落ちると光を反射して光ってきます。

フレームと響板を拭いていきます。弦が張ってある所も隙間から布とピンッセットを入れ、根気よく拭いていきます。

キレイになったところを眺めるのは掃除の醍醐味ですね!

本体の掃除は完了しました。

これから、アクション修理に取り掛かります。

by真帆

ホルーゲル 外装磨き 最終調整

工房では、ホルーゲルの最終仕上げを行いました。

まずは、外装磨きをしました。

ホコリや汚れがある状態なので、雑巾で拭き取っていきます。

ここで、しっかりゴミ、ホコリを落とさないと、磨き傷がつく原因になります。

コンパウンドとバフを使って磨いていきます。

このピアノの塗装はラッカー塗装でした。

ラッカーは黒色が深く、ハッキリした黒に見えます。艶のある美しい黒に仕上がりました。

さて、金属部分も磨きました。

錆びてはいましたが、こちらも磨けば輝きを取り戻します。

全ての磨きが終わり、パーツの組み立てをして、ピアノを組んでみて、現状を確認しました。

外装に使われているフェルトは変色し、本体の保護や雑音防止に使われているゴムも劣化してボロボロでした。新しいものに交換し、綺麗になりました。

本体の最終的な仕上げを親方に確認してもらいながら進めて行きました。古いピアノなので、経年変化で歪んでいるところがたくさんありました。譜面台が前後にスライドしずらくなっていたり、鍵盤蓋も左右均等に開閉できなかったりしました。可能な限り補正していきました。

アクション修理後の調整は親方がしていました。本体同様、修理後に組み立てて調整してみると、木の歪みで鍵盤同士が後ろで擦れていたり、こちらもしていました。それらを全てクリアにした後、最終調整をしていました。

調整する前の音は、本体がよく鳴るピアノなので、音は大きく、良く広がる音でした。

調整した後は、広がる音が凝縮されて、まとまり、音色が濃くなりました。

ここまで違いを感じたのは初めてで、驚きました。良いピアノほど調律、整調、整音でピアノが変わるそうです。

ホルーゲルの出荷前の様子です。

(窓越しからの撮影のため、iPhoneが写り込んでしまいました)

7ヶ月という長期間に渡る修復でした。

工房に来た時は音は出るものの、なかなか演奏をするには大変なピアノでした。

そこから、演奏が可能になり、大きく包み込むような音はそのままに、深みが増しました。ここからまた、新たなスタートを切るのかとこのピアノのこれからに思いを馳せました。

「音楽準備室」というお店に搬入されました。

これから、色々な形で、たくさんの人に弾いて貰えると思うと嬉しいです。

尚、ピアノは出荷されましたが、全ての作業か終わったわけではありません。

特注で頼んである部品が、まだ出来上がっていないので、古い部品がまだついています。

部品が届き次第、新しいものに変えます。

また、後日お伝えします。

そして、隣に写っているアップライトピアノもホルーゲルです。こちらもなかなか良い音です。これから修理に入ります!

by真帆

ホルーゲル ハンマー交換

工房では、引き続きホルーゲルの修復を着々と進めています。

今回はハンマー交換についてです。

まず、アクションの掃除とネジの錆取りをしました。

錆がネジの頭から根元までありました。

新しいフレンジに錆の茶色い粉が付かないように落とします。

磨くと錆が取れて、光を反射します。

アクションも、中に溜まったホコリを掃除で吸い取り、残ったホコリをコンプレッサーで飛ばします。シャンクレールも汚れを綺麗に拭き取ります。

掃除が終わり、早速ハンマー交換に入っていきます。

ハンマー交換ですが、シャンク、ローラーを丸々新しい物に交換します。

セクションの端は、交換する際の基準になるので、オリジナルのハンマーを残しておきます。最後に新しいハンマーと交換します。

使用する接着剤はニカワなので、温度と水分の管理しなければ、良い接着ができません。ニカワの様子を見ながらの作業になり、丁度良い具合を保つのは難しいです。

しっかり固まり、接着されること、更に
修正、修理する時は熱を当てて外すことができるので、便利です。

打弦点(ハンマーが弦を打つ点)が一直線になるように付けていきます。

ハンマー付けが終わると、ハンマーから出ている長い分のシャンクの処理とテール加工をしていきます。

さらにテールを加工します。

上の写真の左が未加工、右が加工後です。

更にハンマーが弦を打って元の位置に戻ってくるときにバックチェックにしっかり収まるように、テールに溝を付けて食い付きが良くなるようにします。

さて、本体に入れて音を鳴らせるようになりました。温かみのある、部屋を包み込むように広がる音になっていました。

これから、整音、調整、調律で更に粒立ちが良い音に仕上げていきます。

どんなピアノに仕上がるか楽しみです!

by真帆

ホルーゲル ダンパー交換

工房では、ホルーゲル修復が着々と進んでいます。

今回はダンパー交換について書きます。

ダンパーは、音を止めるための部品です。

グランドピアノだと、屋根を開けたとき、黒いダンパーヘッドは弦の上に見えます。

まず、このダンパーの頭の汚れを拭き取り、磨いて行きます。

磨くと外装と同じくらい艶やかな黒になります。

さて、上の写真に写っている、古いフェルトを剥がしていきます。

今回は親方によると、簡単に取れたようです。(親方が仕事を終わらせてしまい、写真は撮れませんでした。)

次に、新しく貼るダンパーフェルトのカットです。

ダンパーフェルトを白い樹脂の治具にはめ込み、長さを決めて切って行きます。

フェルトが厚いため、綺麗にまっすぐ断面を切るのが難しかったです。

カットしたフェルトの写真です。

ここで、ダンパーフェルトの紹介をしたいと思います。

左側に写っているのは、巻線一本弦の低音で使われているフェルトです。

右側に写っているのは、巻線二本弦の低音で使われているフェルトです。

他にも、芯線が三本張られている中音には、部分的にW型のフェルト、中音から次高音には平らな形のフェルトが使われています。

いずれのフェルトも音がしっかり止まるように適材適所で使われています。

さて、話が脱線しましたが、作業に戻ります。

ダンパーヘッドにアンダーフェルトを接着します。赤い帯状のクロスに接着剤をたっぷりのせ、ダンパーヘッドを接着していきます。このとき、刃物が入る隙間くらい開けてダンパーヘッドを置いていきます。乾いたら一つ一つにカットしていきます。

これにダンパーフェルトを接着していきます。

ダンパーフェルトにしっかり接着剤をつけます。

二つのフェルトが一直線上に並ぶように接着します。

ダンパーフェルト交換完了です。

これから、本体に取り付けて調整していきます。

by真帆