Steinway & Sons K型 ハンマー交換 1

工房では、Steinway&Sons K型とHORUGELの修復を進めています。

ハンマーの現状

中音から高音にかけて、ハンマーが弦に当たる角度が悪く、打弦した時の発音が詰まった印象でした。

調べてみると、オリジナルのハンマーの取り付け方に問題がありました。

下の写真は、ハンマーに中心線を引いて弦にあて、直角定規も弦にあててハンマーの角度をみている様子です。
直角定規に対して、ハンマーの中心線は下を向いています。

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オリジナルのハンマーは、ハンマーヘッドの角度が悪く、弦溝も深いので、新しいハンマーヘッドに交換することになりました。

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センターピン交換

ハンマー交換作業に入る前に、バットフレンジのセンターピン交換をしました。
修理に入る前に弾いたときは、目立ったスティックはありませんでしたが、フレンジのセンターピンは固いものが多かったです。
スプリングが強くきいていたため、なんとか動いていたようです。センターピンの固さはバラバラでした。緩いもの、固いものは交換して、動きがいい状態にしました。

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ハンマーヘッド抜き取り

シャンクとハンマーヘッドはニカワで接着されていました。ニカワをヒートガンで温めて、緩くなったらシャンクを傷めないように、ハンマーを抜き取ります。今回は、ハンマーヘッドのみ交換なので、シャンクはそのまま使います。シャンクについた余計なニカワを綺麗に取り除きます。

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次週はハンマー交換に入っていきます。

by真帆

YAMAHA No,U1A 白鍵交換

工房では、HORUGELとYAMAHA No,U1Aの修理を進めています。

今回は、YAMAHA No,U1Aの白鍵上面交換についてです。

白鍵上面のアクリルにヒビが入っている状態でした。
長年使われていたので、上面には細かい傷がたくさんありました。

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木口と上面をそれぞれ剥がします。
濡らしたタオルを鍵盤に被せ、アイロンを当てて白鍵上面を剥がします。
木口は、専用の機具で、下地を切らないように注意しながら、樹脂の部分のみを切り落とします。

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古い白鍵上面を剥がし終わり、仮に新しい白鍵上面を当て、下地と鍵盤に隙間がないか確認します。
接着剤を下地に塗ると、鍵盤上面を貼るときに滑りやすくなるので、治具とクサビで抑えた後もずれていないか確認します。

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白鍵の接着が完了しました。

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鍵盤の下地から新しく貼った上面がはみ出ているところがあるので、そこをベルトサンダーやヤスリで加工します。

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加工した鍵盤の角は指に当たると痛いので、面取りをします。

加工の時に出た粉をふき取り、白鍵交換完了です。

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これですべての交換修理を終え、ここからはピアノを仕上げていきます。

by真帆