YAMAHA No,U1A アクション修理4

工房では、YAMAHA No,U1AとHORUGELの修理を進めています。

今回は、YAMAHA No,U1Aのダンパー修理についてです。

ダンパー部品の現状

ダンパーレバークロス(下の写真の緑色のクロス)は、スプーンとダンパーロットが当たり、すり減っていました。
ダンパースプリングクロス(下の写真の赤色のクロス)は、スプリングがこすれてクロスが薄くなっていました。

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ダンパーレバークロス、ダンパースプリングクロスに濡らした布を被せて、アイロンを当てて綺麗に剥がしました。

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新しいクロスを張る前に、ダンパースプリングとダンパーワイヤーを磨き、磨いた後の汚れもしっかりふき取りました。

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ダンパーレバークロスの接着

厚さ3㎜のダンパーレバークロスを治具にセットして、一つずつカットして接着していきます。

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厚さ1.3㎜のダンパースプリングのクロスも一つずつポンチで打ち抜いて作り、接着しました。

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ダンパーロット磨き

ダンパーロットを外すと、表面はダンパーレバークロスが接していた部分は光っていましたが、他は白くサビていました。触ってみると、ガサガサした手触りでした。このままでは、レバークロスをすり減らす原因になるので、表面を磨いて滑りをよくします。

(before)
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(after)

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綺麗に白いサビは取れました。手触りもツルツルになりました。

次回は、ダンパーフェルトの交換に入ります。

by真帆

YAMAHA No,U1A アクション修理3

工房では、YAMAHA No,U1AとHORUGELの修理を進めています。

今回は、YAMAHA No,U1Aのハンマー植えについてです。

ハンマーヘッドとシャンクの接着

ハンマーヘッドにシャンクを入れたときに、シャンクの左右の間隔と前後の間隔を整えて接着します。

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シャンクの長さを決める

セクションの端のオリジナルのハンマーの高さを基準にして長さを決めます。
最高音は、オリジナルのハンマーの高さと実際に音を聞いて決めます。

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基準を取ったシャンクの長さに合わせて、他のシャンクをノコギリで切っていきます。

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シャンクを切った後は、バットに入れて、ハンマーの高さとキャッチャーの高さを揃えていきます。

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ハンマーをバットに植えていきます。接着剤はニカワを使います。ハンマーの高さとキャッチャーの高さを定規で確認しながら、手早く進めていきました。
ニカワが固まらないうちに、少し戻って確認し、修正しながら進めていきます。この作業を低音、中音、高音に分けてそれぞれ行いました。

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これでハンマー植えは完成です。

次回は、ダンパー修理に入ります。
by真帆

YAMAHA No,U1A アクション修理 1

工房は、一週間の夏休みが明け、今週から再びピアノの修理を進めています。

ピアノはHORUGELとYAMAHA No,U1Aを並行して行っています。
今回は、YAMAHA No,U1Aのアクション修理について書きます。

まずは、アクションの掃除からです。
アクションは、掃除がしにくい箇所なので、工房で修理するときにしっかり行います。
掃除機をかけられるところはゴミを吸い取り、外にアクションを出して、さらにエアーコンプレッサーでホコリやごみを飛ばします。
それからブラケットやレールの汚れをふき取ります。

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ブライドルテープチップ交換

ブライドルテープチップの革が劣化して割れていました。
チップが壊れていると“パチパチ”という雑音の原因になります。
古いチップを剥がして、交換しました。
ブライドルテープも汚れを落としました。

before

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after

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~ウィペン修理~

ブライドルチップ交換を終えて、次はウィペンの修理に入ります。

スプーン磨き

サビはヤスリのようにガサついているところもありましたが、ほとんどは変色している程度でした。表面には黒い汚れが付いて、手で触るとベトっとしました。
スプーンを磨いて、汚れもサビも綺麗に落としました。

before

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after

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センターピン交換

フレンジ、ジャックのセンターピンを一つずつ、指で動きの固さを感じながら確認していきます。
スティック(動きが悪いもの)が多く、ほぼすべて交換しました。

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このピアノは、弦を張るところから、私が担当者になり、作業を進めています。アクションは交換する部品が多いので、時間はかかりますが、一つずつ積み上がっていくような感覚があり、仕上がりを想像しながら作業しています。

by真帆