KAWAI K35 鍵盤修理 

お客様宅から工房にピアノを移動させずに、修理、整調などをすることになりました。
ただし、鍵盤の修理は機械や工具を使い、時間もかかるため、工房に持ち帰り修理しました。

鍵盤の現状

ほぼ全ての白鍵上面の接着剤が剥がれている状態でした。

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鍵盤のバランス、フロントブッシングともに、ピンと擦れて汚れが付いて、摩耗している状態でした。

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バランス、フロントブッシングクロス交換

バランス、フロントブッシングクロスともに、濡れたタオルとアイロンで蒸気をあてて古いクロスを剥がしていきます。
ニカワではなく、ボンドのような接着剤でついていたため、剥がした後に接着剤が塊で残ってしまうところは刃物で乗り除きました。
(フロント側のクロスを剥がした後)
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ブッシングクロスの接着

ブッシングクロスはニカワで接着しました。ニカワは乾くのが早いので、接着は手早く行いました。
加工する刃物はしっかり切れる状態で使います。クロスをカットするときにニカワが付くので、こまめに拭き取り、刃物の切れが落ちないようにしています。それでも切れなくなってくるので、すぐ研ぐようにしています。

(バランスブッシングクロスの接着中)
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フロント、バランスブッシングクロスの交換は完了しました。接着後のクロスは、バランスピン、フロントピンに着くぐらいの厚さのクロスを貼っているため、フロントピン、バランスピンにクロスが引っ掛かり、鍵盤スティックになってしまいます。なので、工房である程度クロスを潰して、お客様宅で調整して仕上げます。

白鍵上面の交換

白鍵上面は、ほぼ全ての鍵盤の接着が剥がれていたので、指でめくって剥がれました。いつもは接着剤を剥がすために蒸気をあてて剥がします。こんなに簡単に剥がれたのは初めてで驚きました。木口も簡単に剥がれました。

(白鍵上面を剥がした写真)
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下地の状態を確認し、加工は必要なかったため、新しい白鍵を接着していきました。
接着剤を付けると、滑りやすくなるため、白鍵上面と鍵盤が滑ってずれていないか確認します。
はみ出た接着剤を綺麗に拭き取り、くさびをしっかり利かせました。

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白鍵上面加工

白鍵上面の接着の後は、鍵盤の加工に入ります。
鍵盤からはみ出た余分な白鍵上面をベルトサンダーを使って削っていきます。鍵盤の真っすぐを意識しながら加工していくため、慎重にすすめていきました。機械で加工した後は棒ヤスリやペーパーを使って手で加工して形を整えました。
(上面加工前)
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(上面加工後)

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形を加工した後は、角が立っているため、面取りをします。
鍵盤は指で触るところなので、角が立っていると引っかかったりすると指を傷つけるもとになります。
面取りをしっかりして、白鍵上面の交換は完了です。
今後は、鍵盤修理の見直しとお客様宅での作業の為の準備をしていきます。

by真帆

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